正欲

正欲 (2023)

観る前の自分には戻れない

横浜に暮らす検事の寺井啓喜は、息子が不登校になり、教育方針を巡って妻と度々衝突している。広島のショッピングモールで販売員として働く桐生夏月は、実家暮らしで代わり映えのしない日々を繰り返している。ある日、中学のときに転校していった佐々木佳道が地元に戻ってきたことを知る。ダンスサークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也。学園祭でダイバーシティをテーマにしたイベントで、大也が所属するダンスサークルの出演を計画した神戸八重子はそんな大也を気にしていた。同じ地平で描き出される、家庭環境、性的指向、容姿―様々に異なる背景を持つこの5人。だが、少しずつ、彼らの関係は交差していく。

公開日
2023-11-10
TMDB
7.3 / 10 (16)
上映時間(分)
2時間14分
ジャンル
ドラマ
監督
岸善幸

キャスト

豆知識

  • 原作:正欲

『正欲』(せいよく)は、朝井リョウによる小説。新潮社より2021年3月26日に単行本、2023年6月1日に新潮文庫版が発売された。

製作

監督の岸善幸はプロデューサーに勧められて小説を読み、衝撃を受けた。多様性への理解の浅はかさに気づき、その意味を考えさせられたという。本作の特に浮かび上がらせたいテーマとして、「『多様性』の意味を問いかけるのは、勿論ですが、人間は誰もが二面性を、もしかしたら、二面以上を持って生きていると思うんです。会社とか学校とか日常を送る顔は、様々に使い分けられていて、本当の顔は実は他人に見せたくない。本当の顔で生きていくということは日常性とかけ離れることであって、どうしたって孤独になる。そこは特殊性癖を持つ人もそうでない人も同じような気がしています。そういう意味では『特殊な性的嗜好って何?』というよりは、マジョリティー側の感覚や意識をあからさまにすることの方が大事でした。『私たちの本来の感覚って何なのか、それは間違っていないのか?』と疑ってもらえればいいのかなと思います」などと述べている。

主要キャストは、稲垣吾郎(寺井啓喜 役)、新垣結衣(桐生夏月 役)、磯村勇斗(佐々木佳道 役)、佐藤寛太(諸橋大也 役)、東野絢香(神戸八重子 役)の5人で、稲垣、新垣、磯村のキャスティングは岸の希望。佐藤と東野はオーディションで選んだ。驚きのキャスティングはやはり新垣で、岸としてはこれまで演じた役柄が対極のイメージを持たれている人に演じてもらいたく、ギャップを表現するのがとても大事と考え、新垣の名前が真っ先に浮かんだという。このうち、新垣、磯村、佐藤が演じた3人は水に対する性癖を持つ。性的興奮の描き方には苦労し、岸は俳優とディスカッションを重ねた。新垣が演じた夏月が性的興奮を覚える場面は、撮影がアップしてからも、編集しながらも悩み、今も上手く表現できたか分からないと話している。

啓喜、大也、八重子の3人は神奈川県横浜市在住設定で、夏月、佳道は広島県福山市在住設定。前半は5人の人物のストーリーをシンクロさせ、横浜と広島のパートが入れ代わりながら話が進む。後半は佳道が夏月を誘い、横浜に2人で来るため、後半は横浜だけのパート、ラストは5人が繋がる。夏月は前半は口数少ない設定ながら、中盤ホテルの部屋で佳道と打ち解け、奇跡的に理解し合える人と出会って以降は、明るく、饒舌となり、後半は横浜に来ても柔い広島弁で話す。

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