家族ゲーム (1983)
僕の受験で家じゅうがピリピリ鳴っててすごくウルサイんだ。
中三の沼田茂之の高校受験を控え、父の孝助、母の千賀子、兄の慎一たちまで家中がピリピリ。出来のいい兄と違って、茂之は成績も悪く、何人もの家庭教師がすぐに辞めていた。そこへ、三流大学の七年生という吉本が家庭教師としてくる。孝助は吉本を車の中に連れて行き、「茂之の成績を上げれば特別金を払おう」と約束する。暴力的な吉本は勉強ばかりか、喧嘩の仕方も教え、成績が徐々に上がり始める。茂之は幼馴染みで同級生の土屋にいつもいじめられていたが、殴り方を習っていた甲斐があり、ついにやっつける。茂之の成績はどんどん上がり、兄と同じAクラスの西武高校の合格ラインを超える。ところが、茂之はBクラスの神宮高校を志望校として届け出、両親が怒り、志望校の変更を吉本に依頼する。吉本は学校に駆けつけると、茂之を担任の前に連れて行って強引に変更させる。西武高校に行きたくない理由を慎一に尋ねると、秘密といって茂之が土屋と同じ高校に行きたくないのは小学生の頃、授業中に茂之が大便をもらしてしまったことを土屋が知っているからだという。あまりのバカバカしさに吉本と慎一は大笑い。結局、土屋は私立高校に行くことになり、茂之は西武高校にみごと合格し、吉本の役目は終わり、祝いをすることになった。孝肋は最近ヤル気を失くしている慎一の大学受験のための家庭教師になって欲しいと依頼する。しかし、一流大学の受験生に三流大学の学生が教えられるわけはないと吉本は断わる。バラバラの家族が横に並んだ食事中に吉本が暴れて大混乱。高校に入ってから問題が生じる。家族をよく理解していない母が部屋でまどろんでいると、ヘリコプターの音が聞こえてくる…。
キャスト
- 松田優作 — Sho Yoshimoto
- 伊丹十三 — Kosuke Numata
- 由紀さおり — Chikako Numata
- 宮川一朗太 — Shigeyuki Numata
- 辻田順一 — Shinichi Numata
- 松金よね子 — Shigeyuki's English Teacher
- 岡本椛里 — Mieko's Older Sister
- 戸川純 — Neighbor's Wife
- 白川和子 — Mieko's Mother
- 鶴田忍 — Shinichi's English and Homeroom Teacher
- 佐々木史朗 — Mieko's Father
- 伊藤克信 — Shigeyuki's Japanese Teacher
豆知識
『家族ゲーム』(かぞくゲーム)は、本間洋平作の日本の小説。1981年の第5回すばる文学賞を受賞した。またそれを原作とした映画、およびテレビドラマ。
エピソード
当時16歳の宮川一朗太は、所属していた劇団からある日突然「オーディションの書類審査が通ったから」と言われ、本作の面接に行くことになった。それまで劇団の勧めで色々とオーディションを受けてはいたが10回以上不合格が続いていたため、本作の面接時はやる気なくそっぽを向いて質問に答えるなどした。しかしこの生意気な受け答えが、森田たちに「主人公・沼田茂之のふてぶてしい感じにピッタリ」と気に入られ、見事同役に選ばれた。
ちなみに宮川が合格した時点では吉本役はまだ決まっておらず、後日スポーツ新聞で同役が松田優作に決まったと知り、宮川はかなり驚いたという。松田との共演が分かった途端、学校のクラスメイトたちから「宮川がすげえ仕事やるみたいだぞ」と一気に注目されるようになった。
宮川は、本作の台本をもらった後森田の前で演技をしたが上手くできず、彼から「こうやってやるんだよ」と見本を見せられた。それは“ずっとボソボソ喋ったり猫背で歩く”という茂之の動作で、見よう見まねで覚えてから本番に臨んだ。
宮川の最初の撮影は、吉本から勉強を教わる茂之の部屋のシーンだった。この撮影は宮川の芸能生活における初日ということに加え、存在感ある人気俳優の松田優作との初共演の日だったため、かなり緊張したという。初日の撮影終わりに森田と途中まで一緒に帰る道すがら、「お前は本番に強いな」と褒められた。
ただし本作の撮影が全部終わった時、森田から「実は初日の本番直前まで茂之役を変えようかと思っていたんだよ。それぐらい最初の芝居がどうにもならなかったから」と打ち明けられたとのこと。本人は後年、「本作は僕にとって大切な代表作となり、優作さんとの思い出をくれた作品でもあります」と語っている。
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