敦煌 (1988)
11世紀、中国・宋の時代。科挙に落ち続ける若者・趙行徳は新興国・西夏に希望を求めてシルクロードの旅に立つが、その途中で西夏の漢人部隊と出会い、隊長の朱王礼の下に就くことに。やがて部隊はウィグル王女ツルピアを捕虜として連れてきたが、行徳とツルピアは恋に落ちてしまう。
キャスト
- 西田敏行 — Zhu Wangli
- 佐藤浩市 — Zhao Xingde
- 中川安奈 — Tsurpia
- 渡瀬恒彦 — Li Yuanhao
- 田村高廣 — Tsao Yanhui
- 柄本明
- 原田大二郎 — Weichi Kuang
- 三田佳子 — Woman of Xixia
- 蜷川幸雄
- 新藤栄作
- 鈴木瑞穂
- 綿引勝彦
豆知識
- 興行収入:$5630.1万
『敦煌』 は、1988年の日本・中国合作映画。1989年の第12回日本アカデミー賞で複数受賞をした。原作は井上靖の『敦煌 (小説)』。
製作
1974年、徳間康快が大映を買収し、社長就任の会見で「我が大映としては井上靖先生の『敦煌 (小説)』と司馬遼太郎先生の『坂の上の雲』を映画化する」と発表をした。原作が1959年から『群像』で連載されており、徳間は愛読していた。倒産した大映は劇場チェーンを失っており、生きていくためには海外マーケットを狙った大作を作らなければならないという狙いだった。徳間は10年以上かけて買い集めた日本刀コレクションの中から、最も大切にしていた一振を持ち井上を訪ね、それを土産に映画化権獲得を切り出すものの、原作の映画化権は井上の小説『闘牛』のモデル・小谷正一に渡っていた。小谷は小林正樹と製作を進め、小林が既に脚本も完成させていたものの、中華人民共和国(以下、中国)から撮影許可が全く下りず、北海道で撮る計画を立てたりし苦しんでいた。徳間と小谷の共通の友人である岡田茂 (東映) は「徳間は『敦煌』を日中合作で映画化してみせると言っている。
1974年4月3日、東京銀座の三笠会館で深作欣二のメガホンによる本作の製作発表が行われた。徳間・深作のほか、「石橋をたたいてもまだすぐには渡らない」とも言われた松岡功が同席したことで、「本作は本当に出来るようだ」と報道された。深作は『上海バンスキング』を監督する前に頼まれ、引き受けたと自著で述べている。敦煌へロケーションハンティングに行く途中で上海へ寄り、当地の映画撮影所と協力を構築しながら、本作へ繋げられたらと思案。軍馬の手配、夏・秋・冬の雪が大地を覆っているところを三つは撮りたいと考え、『上海バンスキング』がクランクアップした後に本作の準備にとりかかり、朱王礼に千葉真一、趙行徳に真田広之をキャスティングしていた。しかし馬が足りないことや、原作の人肉市場でウイグルの王女が人身売買する個所の歴史的事実があるかないかで徳間康快らと対立。同時期に深作は東映から3ヶ月で『火宅の人』を撮らないかというオファーを受ける。
「1982年夏、全国東宝系170館で公開する」と松岡功は公言していた。同年に日本で公開された『未完の対局』は中国側が徳間康快に「一緒にやらないか」と脚本を示してきたもので、「娯楽性を考えると、これは映画になりにくい」と徳間康快は判断したが、「これをやらなくては『敦煌』への道は開かれない」と意を決し、初の日中合作を実現させた。この成功により、中国側も『敦煌』に対して理解をし始め、実現に向けて大きな可能性が生まれた。企画当初は20億円と見られていた予算は、10年間の時を経て、物価の上昇などで35億円にまでハネ上がっていた。なお中国当局によって、製作費は中間搾取され、撮影機材は日中友好の名の下に、全て接収されたという。
『ロードショー』1983年7月号に「大映が20億円を投入して井上靖の『敦煌』を映画化」という小見出しで「小林正樹監督が20年間、温めてきた井上靖原作の『敦煌』が、ついに実現する」と書かれている。1983年夏の時点ではまだ監督は小林正樹だった。
マーロン・ブランドなどハリウッドスターを起用して世界配給を有利にしようという構想もあったが、ギャラが余分に数億円かかることから諦めた。それより井上靖がノーベル文学賞を受ければ世界配給がしやすくなると海外での井上文学紹介に力を入れた。遅々として進まぬクランクインを前に、何人もの監督や主演が交代した。
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