異人たちとの夏

異人たちとの夏 (1988)

怪奇と幻想―浅草の迷宮に棲む異人たちとのひと夏の物語

渇き切った現代人の生活に、そっと忍び込んでくる孤独と幻想。お伽話といって笑えない不思議な時間と非現実な空間。第一回山本周五郎賞を受賞した山田太一の小説を、市川森一の脚色で大林宣彦が演出した異色作。妻子と別れた人気シナリオライターが体験した、異人である父母とのひと時のふれあいと、奇妙な出会いをした恋人との不思議な愛の幻想を描く。

公開日
1988-09-15
TMDB
6.7 / 10 (18)
上映時間(分)
1時間48分
ジャンル
ファンタジー, ドラマ
監督
大林宣彦

キャスト

豆知識

  • 原作:異人たちとの夏

『異人たちとの夏』(いじんたちとのなつ)は、1988年(昭和63年)9月17日に公開された日本の映画。製作・配給は松竹。監督は大林宣彦、出演は風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子など。原作は山田太一の1987年の同名小説。上映時間は108分。

製作

元々、松竹からの大林への発注は夏に観客をぞっとさせるゾンビ映画だった。一人の女がいろんな人を惑わせて、都会のマンションでホラーを描くという薄いシノプシスが松竹から送られてきた。公開時に物議を醸したエンディングのCGはその名残りである。

秋吉久美子はオファーを受けたときは、人気のないビルに住む主人公が小悪魔的な恋人に翻弄される『危険な情事』のようなサスペンスと聞かされた、と話している。初期構想では、魔女役は秋吉(実際には主人公の母親役)が演じる予定だった。ところが秋吉は大林から「誰が何と言っても母親役はあなたです」などと達筆で綴られた手紙をもらった。大林は秋吉の母親役への変更について「秋吉君は実は名取君の演じたケイの役をやる予定だったのです。もちろん秋吉君がセクシーに、あの現代お化けを演ずれば、それはそれでとてもチャーミングな一つの愛の不毛が描けたと思いますが、鶴太郎君をお父さんにしたときに彼女を母親にしてみたらどうだろうと思ったのです。つまり映画の中でお母さんに魅力を出していこうと考えたときに、昔ながらの日本の母というイメージではなく、若々しく生命力に溢れた、鋭敏な感覚を持った動物のように描いたら面白いのではないか思ったのです。

主人公の父親役は、大林が片岡鶴太郎の江戸弁を気に入り抜擢したもの。大林は鶴太郎がまだ無名だった1978年頃、鶴太郎が劇団未来劇場に出た芝居を観て「エノケン、八波むと志、渥美清の系譜を引く凄い可能性を持った役者だな」と感想を持っていて、その後、鶴太郎がどんどん売れっ子になり、一緒に仕事をする機会を失ったが、この役なら適役と考え、鶴太郎に「あの頃のあなたの味わいでやってもらえないか」とオファーした。ところが原作者の山田が「あんな太ったヤツの寿司は食えない」と反対した。それを聞いた鶴太郎は必死のトレーニングにより減量し、撮影に間に合わせた。

大林は父親役にエノケンをイメージし、主題曲はエノケンの浅草オペラから「リオ・リタ」を起用した。

映画全体の87パーセントがセットでの撮影。松竹大船撮影所に浅草の佇まいが再現された。撮影は1988年春。

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