二匹の牝犬

二匹の牝犬 (1964)

The sexworker who works in Turkish baths plans to make her fortune on the stock market, open a beauty salon, and marry her boyfriend. However, her plans are turned upside down by the arrival of her half-sister, and her boyfriends unfaithfulness.

公開日
1964-03-12
TMDB
10.0 / 10 (1)
上映時間(分)
1時間31分
ジャンル
ドラマ, 犯罪
監督
渡辺祐介

キャスト

豆知識

『二匹の牝犬』(にひきのめすいぬ)は、1964年の日本映画、R-18(旧成人映画)指定。白黒映画。東映東京撮影所製作、東映配給。主演:小川真由美、監督:渡邊祐介。

製作経緯

企画、及び映画タイトル命名は、岡田茂プロデューサー(のち、東映社長)。本作公開時には東映京都撮影所所長に転任していたが、前任の東映東京時代に現状打破としてギャング路線や東映名作路線、任侠路線などと共に岡田が考案したエロ路線の一本である。岡田はこの前の年1963年にエロ描写が話題を呼んだ佐久間良子主演『五番町夕霧楼』をプロデュースして大ヒットさせていたが、『五番町夕霧楼』の場合は、文芸大作という体を成していた。しかし『二匹の牝犬』の場合は原作もないオリジナル脚本で、主役の二人が娼婦を演じるというエロを前面に出した画期的な女性映画であった。日本映画は1950年代頃までは男優中心で、突出した大女優を除けば、女優は時代劇でも現代劇でも基本的には刺身のツマ扱いだった。ところが1960年代に入ってテレビの台頭と同時に映画の斜陽が始まった。この打開策として邦画各社が一斉に力を入れ始めたのがエロチシズムを売りものにした成人映画で、ここから女優を主役にした映画がたくさん作られはじめていた。

前作・高倉健主演のベタベタなギャング映画『恐喝』を監督した渡邊祐介に、岡田が「そんなにベタベタしたいなら、女の細胞に興味を持て」「ノースターで女を描いてみろ」と指示。売春防止法施行から六年目で、この法律に頭に来ていた渡辺はすぐに飛びついた。渡邊が脚本を下飯坂菊馬と組みたいと希望、渡邊と下飯坂は、この後もコンビで多くの作品を手掛けた。

半年かけて脚本を完成させロケハンも済ませたが、ノースターどころか、なかなか女優が見つからず。渡邊と助監督で足を棒にして文学座研究生の小川真由美と東宝のテレビ部に所属して当時"島蓉子"という芸名で活動していた緑魔子を、小川の妹役として渡邊が起用を決めた。

主演の小川真由美は、1963年に新藤兼人監督『母』で映画初出演し本作が二作目。前述のように文学座の借金返済のため小川と、三津田健、宮口精二、北村和夫、本山可久子、草野大悟、岸田森ら、同劇団の俳優がユニット出演している。小川は1963年10月4日から放送されたNET・東映共同制作『孤独の賭け』での乾百子役に「小川の悪女役っておもしろいじゃないか」と目を付けられ本作主演に抜擢された。小川は文学座の所属でありながらトルコ嬢の役に「こんな役やるの?」と嫌がったが、岡田が「そうだよ。この役が君の役だ」と説得された。小川は本作に続き、同じ岡田プロデュースの『悪女』に起用され、小川は役柄だけではなく、小川自身も悪女というイメージが付くほど、強烈な悪女イメージが付いた。取材のカメラマンから「不敵な笑いを浮かべて下さい」と言われたり、身体をこわして逓信病院に入院したら、テイシンを聞き間違えたか「悪女小川真由美、セイシン病院に入院!」と週刊誌に書かれた。当時の小川はまだ二十代半ば。

緑魔子は九州訛りが酷く、芝居が素人同然だったため岡田は「そんな女を使って、フィルムがメチャクチャになるぞ」と反対したが、緑は懸命に勉強し演技力を身に付けた。緑はこの時代には珍しく英語が流暢に話せるインテリだったが、当時の状況としてはかなり衝撃的な全裸のシャワーシーンを演じるなど大胆に裸体を披露し、デビュー作で新劇人に囲まれながら強烈なオーラを放った。渡邊は「東宝演劇部に席を置くというだけの全くの素人に近い人だった」「映画のエの字も知らない子だったが、ただ眼玉が人並み外れて素晴らしかった」 「スターは会社が作るというが、50%は彼女自身が作り上げた」などと評価した。緑は本作の演技によりこの年のブルーリボン賞新人賞を受賞している。緑はこの後1968年にフリーとなるまで東映の専属として27本もの東映のプログラムピクチャーをメインとし"アングラ"や"新劇"といったバックボーンを持たずに、多くの作品で個性的な役を演じた。

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