地獄

地獄 (1979)

堕ちる前に見ておけ。

不義によって産まれた娘が、成長して母親と同じ罪を犯してしまう。死後、彼女は地獄に堕ち、七大地獄を目の当たりにする。業の恐ろしさを描いた幻想劇。

公開日
1979-06-03
TMDB
6.9 / 10 (12)
上映時間(分)
2時間11分
ジャンル
ホラー
監督
神代辰巳

キャスト

豆知識

『地獄』(じごく)は、1979年(昭和54年)6月2日に公開された日本映画。東映(東映京都撮影所)製作、東映(東映洋画)配給。カラー、ワイド。上映時間は130分。監督は神代辰巳、主演は原田美枝子。

製作

企画は東映社長の岡田茂。岡田は、曼陀羅に描かれた因果応報の世界"地獄"を、常に人間を赤裸々なナマの姿で描き続けてきたと神代辰巳監督を起用し「外部から新しい血を導入、体質改善、新分野開拓を図る第一弾」と話した。また、大作路線への移行を目指して一本立て作品として準備したが、若松孝二監督、内田裕也主演の『餌食』(獅子プロ製作)との二本立てで公開された。神代は「岡田社長からは、地獄絵を見せてくれと言われた。地獄を舞台に『エクソシスト』みたいな恐ろしさが出せればと思っています」と話し、製作に挑んだ。

春日太一の著書『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』では、「岡田が当時の外国産のオカルト映画に便乗して本作品を企画した」と書かれているが、本作品の企画自体は、この10年前の1969年に岡田が異常性愛路線の一本として石井輝男に撮ってもらおうと企画したものであった。10年前のタイトルも同じ『地獄』で、これが流れて代わりに撮られたのが異常性愛路線の最終作『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』。1969年3月14日にあった東映定例会見で、岡田がその年の秋の大作予定として「『地獄』を石井輝男監督で時代劇で作る。東映東京の特撮をフルに動かして三途の川、血の池、針の山などを出して、その昔子供たちが絵で見、親に聞いた話をこってり天然色で描いてみたい。そうしたものだからもちろん時代劇であり洋服で三途の川を渡るなぞの珍景は出ない。これには東西の本願寺にバック・アップをしてもらいたいと思う。とに角『親鸞』以来の大作にしたい」と、本作品とほぼ同じコンセプトを話している。

1977年秋に岡田から依頼を受けた神代は、田中陽造と打ち合わせに入り同年11月から脚本に取り掛かり、初めはサーカスの女をヒロインに据えた悲恋物語を書いたが、岡田から「そんな話が当たるか」の一言で不本意な改訂を余儀なくされた。この準備稿はサーカスのテントの中で観客が全員焼死するという映画化不可能な内容だったとされる。不倫の無間地獄に陥った女の因果応報譚に書き換え、1978年4月下旬に第二稿が出来、岡田に提出しOKが出た。

当時、東映洋画宣伝室に在籍し、本作品の宣伝に関わった野村正昭が神代に「僕は『やくざ観音・情女(いろ)仁義』が大好きですが『地獄』もよく似ていますね」と言ったら、神代が「両方とも陽造が書いてるからなあ」と答え、野村はひどく感動したという。

二役を演じた原田美枝子は、出演オファーを受けたのが19歳で、「台本を読んで出来ない。女の情念とか、女でなければいけない部分はまだ自分にはムリだろうと思い、考えさせてほしい」と返事したが、出来ないのを演ってみようというタチで、かねてから尊敬する神代監督作品初出演でもあり出演を決めた。また、1970年代の中期にかけて美少女アイドルとして絶大な人気を博した栗田ひろみがエキセントリックな娘を演じ、芸能界引退前の最後の出演映画となった。

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