蒲田行進曲

蒲田行進曲 (1982)

人生感動!

撮影所を舞台に、スターと大部屋俳優の奇妙な友情、そしてこの二人の間で揺れ動く女優の姿を描く。第86回直木賞を受賞したつかこうへいの同名小説の映画化、脚本もつか自身が執筆。つか作品の舞台に多く出演していた風間杜夫、平田満が抜擢され、二人の出世作になった。 時代劇のメッカ、京都撮影所。人情に篤いが激情家なのが玉にキズの大スター銀ちゃんと、その銀ちゃんに憧れる大部屋俳優のヤス。ある日、ヤスのアパートに銀ちゃんが女優の小夏を連れてやって来た。銀ちゃんの子を身ごもった小夏をスキャンダルになるからとヤスに押し付けに来たのだった。

公開日
1982-10-09
TMDB
6.5 / 10 (28)
上映時間(分)
1時間48分
ジャンル
ドラマ, コメディ
監督
深作欣二

キャスト

豆知識

『蒲田行進曲』(かまたこうしんきょく)は、つかこうへい作・演出の日本の戯曲。また、それをもとにした小説および映画、テレビドラマ作品。

製作

舞台の段階から各社で映画化の争奪戦があり、企画は東映プロデューサー・佐藤雅夫と書かれた文献もある。深作は「東映の撮影所をモデルにしているみたいなこともあって、東映のプロデューサーが企画会議に出したらしいんです。ああいう楽屋オチなので通らなかったんです」と証言している。つかこうへいが自ら監督してフジテレビ資本で映画化するという構想が最初だったが、往年の松竹蒲田をタイトルにした作品とあって、松竹ではこれを他社でやられては会社のメンツに関わると、執拗に映画化権獲得に動いた。当時の松竹副社長・奥山融は、親しい証券会社の会長から原作を教えてもらい、普段は本は読まないが、読むと面白くてすぐに松竹のプロデューサーに映画化権を獲れ、と至上命令を出した述べている。自身でも直接角川を口説きに行ったら、角川から自分で監督すると言われ、この時点では監督は深作ではなく角川だったと証言している。

当時の日本映画界を席捲していた角川映画とやっと念願の提携を果たした松竹であったが、撮影は松竹の撮影所でなく、あえて東映の京都撮影所で撮影するという異例の試みが取られた。弱体化したにっかつが、東宝配給のホリプロ映画や東映配給の角川映画に撮影所をレンタルした例はあるが、本作では松竹は配給だけでなく共同製作会社であり、メジャー映画会社同士で他社の作品を撮影するのは、映画界始まって以来の珍事。監督も東映出身の深作欣二であり、こうしたねじれがあったせいで最初は東映側、松竹側の双方で軋轢があったという。もともと『蒲田行進曲』は松竹の蒲田撮影所を舞台としているものの、つかこうへいは東映京都撮影所の大部屋俳優である汐路章の階段落ちの逸話をテレビ『徹子の部屋』で汐路が語ったことで知り、モデルに執筆したものであり、実際は時代劇全盛期の東映京都の話として描かれている。撮影時の東映京都撮影所の所長だった高岩淡は、劇中の「銀ちゃん」は東映の「錦ちゃん」こと中村錦之助(萬屋錦之介)をイメージしたようだと語っている。

深作欣二は1981年の『青春の門』撮影後に、松坂慶子主演・野上龍雄脚本で、五木寛之原作の『朱鷺の墓』を映画化したいと松竹の織田明プロデューサーに要請し、金沢のシナハンも終え、カナダロケの段取りをつけるなど、かなり製作が進んだ段階で、深作と野上が『朱鷺の墓』の製作中止を織田に申し出た。後処理の難航で、松竹はかなりの損害を被ることが予想されたため、織田が二人に代替案を要求し、野上が『魚影の群れ』を、深作が田辺聖子原作の『休暇は終わった』と松竹が企画として挙げていた本作『蒲田行進曲』を出していた。

深作は『道頓堀川』の製作が決定するかどうかのタイミングで、同作の音楽が難しかったことから、当時親しい付き合いが始まっていた角川春樹に、「『道頓堀川』の音楽プロデューサーをやってくれないか」と頼みに行った。しかし角川から「私は映画プロデューサーだから、やっぱり映画プロデューサーとして勝負させてくれ」と断わられた。ちょうど『蒲田行進曲』が第86回直木賞を受賞したころで、角川が盛んに「つかこうへい」「つかこうへい」と言い、深作は『蒲田行進曲』を読んでなかったため、角川から「不勉強です。すぐ読んでください」「これは東映京都撮影所そのままのピラニア軍団生き写しみたいなドラマだから、絶対読んでください」「もし良かったら、すぐ映画化の運びに私どもで段取りつけるから」などと口説かれ、電光石火、角川から『蒲田行進曲』の監督オファーを受けたと証言している。深作の監督就任で製作が一気に進んだ。

原作者のつかこうへいが第1稿を書くも、深作と揉め、最終稿に至るまで大幅に修正させられたが、それを書籍化すれば売れると踏んだ製作者の角川春樹が、自社のレーベル『シナリオ文庫』で、揉めた経緯を含め顛末を、つかと深作の討議付きで文庫化している。

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