スパイ・ゾルゲ

スパイ・ゾルゲ (2003)

正義が、その男を怪物にした。

巨匠・篠田正浩監督の引退作。ナチス党員のジャーナリストを装いながら、実は共産主義者のスパイとして日独の機密をソ連へ流していたドイツ人ゾルゲと、彼に共鳴して協力者となった朝日新聞記者・尾崎の交流と葛藤を綴る。「トゥームレイダー」のI・グレンが軽妙なムードたっぷりにゾルゲ役を演じたほか、本木雅弘、椎名桔平、小雪、そして監督の公私にわたるパートナーでもある岩下志麻など豪華なキャストがそろった。昭和初期の上海や日本を再現した美術も見どころだ。 世の中が戦争へと動きつつあった1930年代。上海支社に赴任した朝日新聞記者・尾崎は、ナチス党員のジャーナリスト、ゾルゲと出会う。だが、ゾルゲの本当の姿は、ソ連の諜報員だった。やがてゾルゲはドイツの特派記者として来日し、ドイツ大使館を拠点として諜報活動を進めてゆく。そんな中、帰国していた尾崎はゾルゲと再会、日本の現状に疑問を抱いていた尾崎はゾルゲの語る理想に共感を覚え、彼に協力することになるが……。

公開日
2003-06-14
TMDB
6.6 / 10 (8)
上映時間(分)
3時間3分
ジャンル
戦争, 履歴, ドラマ
監督
篠田正浩

キャスト

豆知識

『スパイ・ゾルゲ』は、2003年(平成15年)6月14日公開の日本映画。監督は篠田正浩、脚本は篠田とロバート・マンディ。実在のスパイ、リヒャルト・ゾルゲの半生を描いた、全編3時間を越える大作である。

制作

篠田は本作製作は『ハムレット』の一節がきっかけであったと述べており、それに例えて戦前・戦中の昭和を「関節が全部外れていった時代」と称している。また製作の動機について、自身が何故太平洋戦争を体験したのかという謎に対する想いも挙げている。

最先端のデジタルシネマ撮影技術が大規模で投入された。HD24Pはテープ収録ではなく非圧縮ハードディスクレコーディングで行われ、CG製作においては早稲田大学やNTTなどの産学協同体制がとられた。篠田は当時早稲田大学の特命教授を務めており、大学との提携により早稲田大学本庄キャンパス内にあるTAO(通信・放送機構)の本庄情報通信研究開発支援センターを映画で初めて使用している。篠田は本作を引退作とした理由について技術の到達度を挙げている。篠田によると、この作品は日本で初めて撮影から編集まで、フィルムを一切使用せずに制作された映画だという。戦前の東京の風景はフルCGのほか、セットとロケをCGで繋ぐといった手法も用いている。戦艦長門や八九式中戦車などの兵器もCGで描写された。

三宅華子のモデルであった石井花子はじめ、登場人物の大部分は映画公開時点で物故者であったが、ヴェケリッチの妻である山崎淑子(2006年死去)は当時存命で、子息である山崎洋(彼も生誕間もない姿で本作に登場する場面がある)とともに試写会に招かれている。ヴェケリッチと淑子が出会う場面で淑子は和装であるが、史実では洋装であった。これに関しては衣装担当の森英恵がそれを知った上で和装にするよう篠田に勧めたという。

音楽のメインテーマは、池辺晋一郎の交響曲第6番『個の座標の上で』の冒頭部分をそのまま引用している。本作の予告編及びテレビCMではBGMにフィンランドのヘヴィメタルバンドストラトヴァリウスの『Infinity』が使用されていた。

エンドロールの最後に「この映画を武満徹に」の献辞が表示されるように、武満の死を悼んで作られた映画でもある (篠田は自分の映画の音楽の多くを武満に頼んでいた)。実際に、エンドロールの最後にかかる曲は武満徹の「弦楽のためのレクイエム」である。

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