寒椿

寒椿 (1992)

あなたの胸に、きっと流れつく。

昭和初期。西日本一と謳われた高知の妓楼・陽暉楼には、当時三百人近くの芸妓がおり、色と欲の世界で艶を競っていた。今日もまた女衒の富田岩伍に買われてきた女・貞子がいた。貞子は陽暉楼に入り、芸妓・牡丹としての一からの芸事の特訓を受けた。華やかでありながら、それでいて何処か儚げな風情が評判を呼び、たちまち陽暉楼の一番の売れっ子になった牡丹。岩伍はその人気ぶりを我が事のように喜んだが、牡丹には売れっ子になればなるほど新たな苦しみが待ち受けていた。というのも、次々と思いを寄せる男たちが後をたたなかったからである。牡丹は密かに岩伍のことを恋い慕っていたが、岩伍は女衒であり、自分が売り買いした女を抱けるはずもなかった。牡丹は傷心のまま身請けされ、東京へと旅立っていった。だが、牡丹を待ち構えていたのは苦難の日々だった。そして岩伍にとっても...。

公開日
1992-05-30
TMDB
7.0 / 10 (1)
上映時間(分)
1時間55分
ジャンル
犯罪, ドラマ, ロマンス
監督
降旗康男

キャスト

豆知識

『寒椿』(かんつばき)は、宮尾登美子の小説。同作を原作とし、1992年に公開された日本映画についても紹介する。

製作

日下部五朗東映プロデューサーは「岡田茂社長が『映画館を再開発してテナント収入で興行を支えろ』などと、映画会社の大社長が言わなきゃならないほど、映画界は厳しい状況にあるわけです」「映画製作も映像多角化展開で有様も変ってゆくでしょうし、その中から若い才能も現れて来るとは思いますが、当面の映画界の危機的状況に直面して、メジャー現役のわれわれが担わにゃきゃならんわけです。今年評判をとった『シコふんじゃった。』『夜逃げ屋本舗』『外科室』なんかも見てるけど、それそれの企図するものは判るんですけど、こういっちゃ失礼だけど、眠くなってしまってね」「『仁義なき戦い』を押し出した頃は仕込み(興行)のことなんか考えてもいなかったですけど、今は『まず当たるだろうか』と考えてしまいます」「宮尾さんには『伽羅の香』とか『一絃の琴』とか芸道ものの名作がいくつもあるのですが、ちょっと東映としては取り上げにくい。

脚本は那須真知子の単独クレジットだが、日下部とプロデューサーとしてクレジットされる奈村協、中山正久の4人で、映画の原作『寒椿』と『岩伍覚え書』の中から、登場人物のキャラクターを得て、映画的に話を膨らませた。岩伍役の西田敏行は、脚本を練る前から決まっており、脚本段階で岩伍役西田のキャラクターでなければ成立しない岩伍役を書き込んだという。

宮尾作品で宮尾の父親をモデルとする役は、それまで仲代達矢と緒形拳が演じたが、全体的に若返りをさせたいという意見が出て、岩伍役には西田敏行が起用された。西田は『釣りバカ日誌#映画(シリーズ)釣りバカ日誌』の好人物ではない。ドスが効いた恰幅、肝と度胸の男。髙嶋政宏を相手に小回りの利く立ち回りを演じて見事な男っぷりを見せる」と評価された。

日下部プロデューサーは、南野陽子のキャスティング経緯について、「女優は20代半ばで伸びるか伸びないか山場を迎え、南野さんにとっても転機を迎えているのではないか、先輩女優も宮尾作品への出演で、女優としてステップアップしたし、将来女優として伸びて行こうという気持ちがあるなら、『寒椿』の牡丹役に挑戦してみる気はないか」などと口説き、加えて「苦界に身を落とした芸姑という大人の役だから、身体でおカネを稼ぐ女が裸にもなれないようでは、牡丹役はこなせない」などと時間をかけて口説き、南野は出演を承諾したと述べている。

夏目雅子を始め、数多くの女優がヌードになり、本格派女優の登龍門といわれた宮尾登美子原作物への出演に南野陽子は「シナリオの面白さに惚れ込んで、思い切ってヌードになった」と話し、髙嶋政宏とのハードな濡れ場を演じる。「もうデビューして7年ですから、高校生の役じゃなく、こういう娼婦の役とかどんどん挑戦していきたい。恋愛だけに悩むような女の子の役はないので、そういう役もやってみたいです。他にも右翼とかヤクザの役も挑戦したいです。テレビに較べたら映画はしっかりした映像として残りますから、人の心に迫るようなものにトライしたい」等と話した。

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