誘拐報道 (1982)
Hideyuki Mitamura, a student at a private school near Osaka, is kidnapped on his way home from school.
キャスト
豆知識
『誘拐報道』(ゆうかいほうどう)は、1980年に発生した宝塚市学童誘拐事件を描いた読売新聞大阪本社社会部編(新潮社刊)の同名ドキュメンタリーを原作とした1982年の東映・日本テレビ提携製作映画。配給東映。萩原健一主演・伊藤俊也監督。
製作
監督の伊藤俊也が「何としても映画化したい」と岡田茂東映社長(当時)に直談判した末にGOサインが下りたものの、伊藤が小柳ルミ子のヒロイン役に固執し、小柳の所属する渡辺プロダクションに何度も直訴するも、拘束期間の長い映画には出させられないと断られていた。この年、小柳は歌手業一本で行くことがプロダクションのスタッフ会議で決まっていた。一方、出資する日本テレビ側の希望は吉永小百合か大原麗子であり、日テレや読売新聞は小柳を歌手としか見ておらず、小柳の起用に猛反対した。東映サイドからいえば、吉永や大原では意外性がなく、伊藤が「歌姫を汚れ役で使うということに意味があるんだ」と日テレサイドを押し切り、小柳には伊藤からのオファーは伝わっていなかったが、萩原健一が小柳に話を伝え、出演を熱望した小柳と、小柳の起用を熱望する伊藤の説得にナベプロも折れ、ようやくクランクインが決定した。そのため、小柳の多くの営業をキャンセルして大きな損害が出たという。
前述のように萩原健一、小柳ルミ子とも、伊藤監督の強い希望でのキャスティングであった。特に小柳は「役のイメージでない」と伊藤以外は全員反対だったとされるが、東映のプロデューサーの天尾完次は「『トラック野郎』の三作目くらいから小柳をマドンナ役にとずっと交渉していた。女優としての才能は必ずあると前から思っていた。今回やっと主役でやれた」と話している。また伊藤が1979年に堺屋太一原作の『油断!』を企画として挙げ、小柳に出演オファーをしたことがあったが、この時もナベプロに映画出演は横道に逸れると大反対されていた(企画も流れる)。また小柳は「『鬼龍院花子の生涯』や『野獣刑事』も出演オファーがあり(役柄は不明)、にっかつ(ロマンポルノ)からも相当口説かれた」と話しており、小柳自身、芝居が好きでずっと映画に出たいと思っていたという。
萩原も伊藤から誘拐犯での出演オファーにイメージダウンの恐れがあり、なかなか踏ん切りがつかなかったが、伊藤からの凄い熱に出演を承諾した。萩原は「最近作る側に熱がないのが寂しかったんだ。俺は脚本の良し悪しより作る側の熱を大事にする。でなけりゃ見る方にも何も伝わらないと思うしね。今回は伊藤監督の熱に打たれたよ。その熱が画面に出たと思いますね」などと話し、2か月で10kg減量して誘拐犯人役に挑み、鬼気迫る演技も話題となった。萩原健一は伊藤俊也監督を「いい監督だった」「理論的で画面構成もしっかりしていた」と評価していた。また車のスピン・シーンは、子供の安全の視点からカットされている。
小柳ルミ子は、芸能人として幸運すぎるスタートを切って荒波もなく、さざ波程度で順調に来たが、このままだと自分を維持するだけになってしまうのが嫌で、30歳を迎えるこの年、大きく波立たせるためにはまず波の最下線まで自分を落とし込むことだと考え、「未知の映画なら、それを体験出来る。伊藤監督にしごかれて自分の駄目さを痛いほど感じたい」と自虐的試みとして誰にも相談せず、出演オファーを受けた。これまでひたすら女として生きた自分の情感で、素人ながらどこまで女優として迫れるかの挑戦もあり、ノーメイクでカメラの前に立った。伊藤監督の面子を潰してはいけないと必死に取り組み、しばらくしてスタッフから「小柳さんで良かった。監督は正解でした」と声が上がり、涙が込み上げた。小柳の演技は称賛され、日本アカデミー賞で現役歌手として初めて最優秀の演技賞を受賞した。作りあげてゆく作業が歌の世界とは全然違い、初めての経験に映画の仕事が自分と相性がいいと血が騒ぐ快感を感じた。
映画・テレビ・演劇界から主演級俳優が集結した。神戸支局長を演じる三波伸介は映画出演は7年ぶりで最後の映画出演。新米記者を演じる宅麻伸は映画初出演。橋爪功はエンドクレジットの二列36人並びのトップに名前が出る。
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