ハッピーアワー (2015)
もっと私を好きになりたい。
4人の女性たちが直面するそれぞれの人生の岐路 30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは……。中学生の息子がいる桜子は、多忙な夫を支えながら家庭を守る平凡な暮らしにどこか寂しさを感じていた。編集者である夫をもつ芙美もまた、真に向き合うことのできないうわべだけ良好な夫婦関係に言い知れぬ不安を覚えていた。あかりはバツイチ独身の看護師。できの悪い後輩に手を焼きながら多忙な日々を過ごし、病院で知り合った男性からアプローチを受けるも今は恋愛をする気になれずにいる。 純の現状を思わぬかたちで知った彼女たちの動揺は、いつしか自身の人生をも大きく動かすきっかけとなっていく。つかの間の慰めに4人は有馬温泉へ旅行に出かけ楽しい時を過ごすが、純の秘めた決意を3人は知る由もなかった。やがてくる長い夜に彼女たちは問いかける。 —私は本当になりたかった私なの?
キャスト
- 田中幸恵 — Akari
- 菊池葉月 — Sakurako
- 三原麻衣子 — Fumi
- 川村りら — Jun
- 申芳夫 — Yoshihiko
- 三浦博之 — Takuya
- 謝花喜天 — Kohei
- 柴田修兵 — Ukai
- 出村弘美 — Hinako
- 坂庄基 — Kazama
- 久貝亜美 — Yoshie
- 田辺泰信 — Kurita
豆知識
『ハッピーアワー』 は、2015年の日本のドラマ映画である。監督を濱口竜介、主演を田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りらが務めている。第68回ロカルノ国際映画祭にて最優秀女優賞を受賞した。
製作
監督の濱口竜介は、東日本大震災をテーマにした『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』の「東北記録映画三部作」を手がけた際、「小規模な体制であれば、どこででも映画を作れる」ことを学んだという。その後、三部作のプロデューサーだった芹沢高志がデザイン・クリエイティブセンター神戸 (KIITO) のセンター長を務めていたこともあり、KIITOのアーティスト・イン・レジデンスという事業を利用し、招聘作家として兵庫県神戸市へ移った。
本作の製作は、2013年9月から5か月間、KIITOにて開催された「即興演技ワークショップ in Kobe」がきっかけとなっている。ワークショップの参加に応募した希望者の中から、17名が選考された。参加者の約3分の2は、それまでに演技した経験が無かった。
濱口は、スタッフの1人が夜の酒場で既婚の女性看護師に誘惑された話を聞き、「なぜ彼女はそんなことをするのか」と引っ掛かりを感じていた。その一方で、ワークショップには4人の30代後半の女性が参加しており、「彼女たちの話をつくり得る」という思いがあった。また、ジョン・カサヴェテス監督の『ハズバンズ』における「4人組がひとりを失い、ほかの3人が精神的な彷徨いを体験する」構造を使おうという目論みもあった。「それらがつながって、30代後半の女性たちのなかに抑圧されてしまった感情はどうやったら浮き出てくるのかを考えようとした」ことが、脚本の発端となった。出演者と面談し、彼女たちが脚本に感じる違和感は修正されていった。
2014年5月、第3稿の脚本で撮影が開始された。しかし、「人物描写やセリフをより日常的なものにした」第3稿には、第2稿にあった劇的な展開が欠けており、共同脚本の高橋知由は「第2稿よりつまらなくなっている」と指摘した。高橋と野原位が第4稿を執筆したのち、濱口の主導によって第5稿が執筆された。この第5稿をもとに6月から8月まで撮影を進めていたが、濱口は「ラストの展開にもいまひとつ自信を持てなかった」「『こんなことが起きるんだろうか?』と感じてしまうし、やはり第2稿くらいまでにあった爆発力を持ち切れていない」と感じた。それまでの撮影で得た感触を踏まえつつ、「語りたいドラマを語ること」と「『演者が口にできないだろう』と思わないセリフを書いていくこと」という2点の課題に取り組むこととなった。8月下旬か9月上旬の頃、第6稿が完成した。その後、演技の感触や撮影の状況により、撮影を重ねる中で微調整を加えていったものが、最終稿となった第7稿である。
撮影の際には、事前にカットを割るのではなく、「その場でリハーサルして動きをつくって、それに対してカットを割っていく」「演技に即して適切なカメラポジションを決定していく」という方法がとられた。撮影は、摩耶山掬星台、有馬温泉、KIITO、神戸三宮フェリーターミナル、神戸学院大学ポートアイランドキャンパスなど神戸市内各所にて8か月間かけて行われた。
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