赤ちょうちん (1974)
君が、あなたが、現代の青春をさまよう……
政行は、電車が通る度に揺れる安アパートから幡ヶ谷に引っ越した。そんな折、以前一夜を共にした女、幸枝と再会する。若者の男女が二人、同棲生活を始めるまでに時間はかからなかった。二人の楽しい時間は続いたが、ある時帰宅すると、保険屋だという男が部屋に居座っていた。何かと理由をつけて居候する男を無理に追い出せず、三人の共同生活は続いたが、とうとう大家から気色悪がられ、政行と幸枝は逃げるように引っ越した。二人の新宿のアパートでの生活は平穏だったが、ふとしたことから幸枝の妊娠が発覚した。「俺の子かどうか」政行の生活は次第に荒れていき、身重の幸枝は辛い思いをした。しかし二人の絆は壊れておらず、また引っ越しして新しい地でやり直そうと決める。しかし新天地に選んだ調布では近所付き合いがうまくいかず…。
キャスト
豆知識
『赤ちょうちん』(あかちょうちん)は、1974年公開の日本映画。藤田敏八監督=秋吉久美子主演による「日活歌謡映画路線」の第1作、「日活ニュー青春映画3部作」の第1作。秋吉久美子の出世作となり、興行的にも成功を収め、以降、同年のうちに『妹』『バージンブルース』が製作された。1971年11月から日活ロマンポルノ体制に移行した日活が、それ以降に最初に作った一般映画。
製作
1974年の正月興行は東宝が『日本沈没』、松竹が『男はつらいよ 私の寅さん』、東映が『ゴルゴ13』、『仁義なき戦い 頂上作戦』と各社大当たりを記録したが、正月もロマンポルノの日活は客層が限定され、ロマンポルノ体制3年目で客足が定着した割りに限られた興行収入しか挙げられず、日活幹部は悔しい思いをした。本作は何とかしてファン層を拡げたいと"脱ロマンポルノ"を掲げて製作されたその第一弾で、1974年2月14日に日活撮影所であった製作会見で黒澤満撮影所長が「正月興行では他社の陰に追いやられた。来年の正月はロマンポルノでない作品を上映して大手三社に迫りたい。この『赤ちょうちん』がその成否を占う第一作です」と述べた。岡田裕プロデューサーが「歌謡映画シリーズ」を発案し、本作はその第一弾という。『スポーツニッポン』1974年1月23日付には、土屋映像本部長が「歌謡映画シリーズ」を発案したと書かれており、土屋が「石原裕次郎も小林旭も吉永小百合も歌謡映画でスターダムにのしあがった。
『神田川』の映画化の際、日活と東宝から正式に話があり、松竹も松坂慶子・近藤正臣主演、山田洋次脚本、森﨑東監督、または『同棲時代』をヒットさせた山根成之監督で構想し、映画関係者の間では、歌謡映画では1964年の『こんにちは赤ちゃん』以来の競作になるのではと言われた。
日活サイドは藤田敏八監督で、客層を拡げるべく成人指定のないロマンポルノとして映画化を打診し、本作の助監督・長谷川和彦が熱心に交渉に訪れていたため、かぐや姫の担当ディレクタークラウン・田中迪らは、日活での映画化を希望していたが、「神田川」の作詞家・喜多条忠が勝手に東宝と契約してしまった。田中は日活に申し訳ないという気持ちがあり、長谷川に次のシングル用に考えているいい曲があるので「こちらでどうでしょうか」と「赤ちょうちん」を聴かせたら、長谷川が気に入り、本作の日活での映画化が決まった。この後、次の曲(「妹」)も日活で映画化する話がかぐや姫とは無関係のところで決まった。これら一連の映画化交渉に於いて、曲の作曲者である南こうせつやかぐや姫には一言の説明もなく、「参考意見として聞いてくれ」と主張しても「お前たちは映画には関係ない」と却下された。南は「神田川」の次のシングルには「なごり雪」を考えていたが、これも事務所(ユイ音楽工房)とレコード会社の約束で「赤ちょうちん」に決められた。
日活は激しい争奪戦の末、あと一歩のところで「神田川」を東宝に取られ、『赤ちょうちん』を東宝の『神田川』に真っ向勝負と意気込んだ。内容も『神田川』に似ている。『映画時報』1974年12月号には「1974年の日活は江守清樹郎さんが最高顧問としてカムバックしてきて作品が軌道に乗った。日活としても、ポルノ映画ばかりでは駄目と知っているから、一般映画も随時企画することにしているが、その第1作の『赤ちょうちん』とか『妹』とかか予想以上にヒットしたので、この一般映画の製作本数を随時増やしていこうと方針を決めている」と書かれている。
当時の日活はロマンポルノ裁判があって、イメージが悪く、最初に主役の久米政行役は、萩原健一にオファーしたが、萩原から断られた。代わりに当時はテレビタレントイメージがあった高岡健二がキャステングされた。
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