ラブ・ストーリーを君に (1988)
A mother discovers that her 14-year-old daughter Yumi has leukemia and only six months to live. She decides to keep the information secret and pushes her past tutor Akira, now a university student, to reconnect with her.
キャスト
豆知識
『ラブ・ストーリーを君に』(ラブ・ストーリーをきみに)は、1988年3月5日公開の日本映画。東映東京撮影所、オスカープロモーション製作、配給東映洋画。原作はフランスの小説家・脚本家のディディエ・ドゥコワンの1969年の小説『眠れローランス Laurence 』。"元祖国民的美少女"後藤久美子の映画デビュー作。文部省選定。
製作
東映系列のセントラル・アーツ代表(社長)・黒澤満プロデューサーが、1980年頃から映画化を熱望し、脚本家の丸山昇一に「この原作(『眠れローランス』)を読んでくれ」と原作本を渡し脚本化を頼んでいた。その後も毎年春になると「ローランス、やりたいな」と丸山にボソッと言っていたが、丸山は"難病もの"が好きでなく、またこのような企画が東映で通るはずもなく乗り気でなかった。しかし年々、黒澤が実績を積み上げ、東映内で影響力を強めていくうち、地味でオーソドックスな話ではあったが、興行的にも成功が期待できるキャスティングを得られたことで、岡田茂東映社長より製作GOの指示が出た。
仲村トオルは、当時黒澤プロデューサーが代表を務めるセントラル・アーツ所属の俳優で、黒澤がマネジメントを担当し『ビー・バップ・ハイスクール』で人気俳優になってはいたが、不良役だけでなく、幅広い役柄をこなせる役者になって欲しくて『あぶない刑事』や『紳士同盟』などに起用していた。本作の大学生役は大変地味だが起用を決めた。
まず後藤久美子主役ありきの企画である。黒澤はオスカープロモーションの古賀誠一社長と知り合いで、後藤のデビュー時から注目していた。古賀社長の方から黒澤に「久美子の映画をやりたいのだが」と相談を受け、構想していた『眠れローランス』企画が一気に進んだ。この段階では、後藤は「国民的美少女」として人気は爆発していたが、まだテレビドラマが少しとCM、グラビアの仕事が主で実績はまだなかった。ところが後藤が1987年の大河ドラマ(NHK)『独眼竜政宗』での愛姫役で一躍国民的アイドルとなったことから、東宝や松竹も初主演映画の獲得に乗り出し争奪戦になったが先行する東映に決まった。東映は「人気者・仲村トオルとのコンビで純愛路線を敷き、来年以降、お盆と正月の年二本体制でヤングをひきつけたい」と発表した。
脚本のクレジットは丸山昇一単独であるが、実際は丸山と監督の澤井、プロデューサーの伊藤亮爾の三人で、脚本の構成、ハコ作りが、ほぼ毎日、一か月以上かけて行われた。松田優作主演による一連のアクション作品の脚本で知られる丸山は、ニューシネマが好きで、最初に薄汚く屈折した青年と、はねっかえりな少女に設定を変えて脚本第一稿を提出したが黒澤につき返された。黒澤は本作を毒を持った人間が一人も出ない映画を基本に考えていた。澤井が黒澤に聞くと「ストーリーはつまらん。これを映画にするつもりはない。面白いのは訳者のあとがきの数行で、これで今までとは違う難病ものに出来ると思う」と伝えた。1977年に角川文庫から出た邦訳で訳者の長島良三は「13歳の娘が白血病で数ヶ月後に確実に死ぬとしたら親たちはどうするだろうか?ある親は世界一周の旅に連れていくかもしれないし、ある親は娘のために最後のコンサートを開いてやるかもしれない。
澤井監督は撮影にあたり「後藤さんは究極の美女だが、その仮面を剥がして素顔の彼女を現出させたい」と意欲を見せた。スター映画らしく、後藤久美子にフルートを吹かせたり、和服や浴衣、レオタードを着せたり、打てる手は打った。ただし、難病映画に必ずあるパジャマ姿はない。後藤は目力が強く、澤井が演技を説明するとき、顔をぐっと近づけてきて、間近で見ると引き込まれるほど綺麗で、慌てて顔を引くようなこともあったと話している。フィクションながら悲しすぎる話に後藤は台本を読んで何度も泣き、リハーサルでポロポロ泣き、本番で「雪が降ってる。きれい」というセリフを言うだけでまた泣いた。
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