海軍横須賀刑務所

海軍横須賀刑務所 (1973)

When a rebellious roughneck enlists in the Navy and goes on a rampage against his superiors, he is sent to the Yokosuka Naval Prison.

公開日
1973-11-17
TMDB
7.0 / 10 (1)
上映時間(分)
1時間40分
ジャンル
アクション
監督
山下耕作

キャスト

豆知識

『海軍横須賀刑務所』(かいぐんよこすかけいむしょ)は、1973年11月17日に公開された日本映画。主演・勝新太郎、監督・山下耕作。製作・東映東京撮影所、配給・東映。

製作

本作は元々、久しくスクリーンを遠ざかっていた高倉健主演作として、1973年のお盆映画として企画されたものだった。最初は高倉健主演・石井輝男監督の「網走番外地」コンビで製作が進められていたが、後述する理由で高倉が『現代任侠史』に移り、勝新太郎主演・石井輝男監督に変更となりクランクインを予定していた。しかし直前になって石井も『現代任侠史』に移り、結果的に高倉・石井が『現代任侠史』にコンビでスライドし、石井脚本だけが本作に残り、最終的に勝新太郎主演・山下耕作監督で製作された。これらの変更は1973年に降って湧いた東映実録路線の抬頭と東映お家騒動が関係している。1960年代後半から燻り続けていた東映の岡田茂社長と俊藤浩滋プロデューサーの製作方針を巡る対立が1973年初頭に表面化。

同年3月、関東東映会の佐々木進会長を立て表面上の和解がなされたものの、『仁義なき戦い』が大ヒットし、岡田企画の『やくざと抗争 実録安藤組』も3月にヒットしたことで、岡田が任侠路線を打ち切り、実録路線への変更を即断で決めたため、純"任侠映画"にこだわる俊藤とは実際は和解には至らず、新聞誌上で岡田を誹謗した鶴田は、若山に続いて一年半、映画を干された。高倉も岡田から高倉プロの撤回を要求され、ギャラアップの要求も蹴られるなどで確執があり、東映作品の出演を拒むようになっており、この騒動の時にトップスターたちのテレビや他社出演も従来より柔軟な姿勢で対処していくという申し合わせがなされた。菅原文太も俊藤派と見なされていたが、菅原は岡田を「時代に吹く風を敏感に嗅ぎ分け、時代の変化に即応し、新しいジャンル、新しい路線を貪欲に打ち出す才能を持っていた」と評価していたため、円満解決して欲しいという思いが強く、岡田と俊藤の板挟みに苦しんだ菅原は、沈黙を貫き、お咎めなしになっていた。

しかし、この年の実録路線の抬頭で、二年前に一度世論を気にして断念した『山口組三代目』を製作するには絶好のチャンスと、この年全く製作を考えていなかった『山口組三代目』をお盆映画にする可能性が高まった。『山口組三代目』は岡田が徳間康快と組んで映画化したものだが、俊藤も同じ企画を進めていたこともあって、本作と『山口組三代目』のどちらを製作するか1973年初夏まで決まらなかったが、結局、岡田と俊藤の手打ち式による高倉の東映戦列復帰第一作は『海軍横須賀刑務所』ではなく『山口組三代目』になった。高倉が『山口組三代目』で田岡一雄を演じたのは単にスライドだけだった可能性もある。

本作の最初のタイトルは『水兵やくざ』、『海軍横須賀番外地』、1973年夏には『海軍番外地・横須賀』などと報道され、「網走番外地」の海軍版として、知名度の高い"番外地"のタイトル起用が有力視されていたが、高倉がアメリカ映画『ザ・ヤクザ』の出演が決まったため、その配慮からタイトルから"やくざ"を外したとされる。当時、日本の"やくざ"という言葉が欧米で浸透し始めていたといわれ、東映としては"カラテ映画"に続いて"ヤクザアクション"が欧米でもウケるのではないかという期待があった。東映は1973年9月にニューヨークで現地のバイヤーを集め、『賞金稼ぎ』 『緋牡丹博徒』『人斬り観音唄』などのデモンストレーション上映を行った。また岡田社長がこの頃から、「輸出映画を作って稼いでいかなければならない」と東映国際部に東映作品の海外セールスを積極的に行うよう指示を出していた。

先述のお家騒動の後、秋の高倉主演映画は『現代任侠史』が予定に挙がっていた。本作が秋に押し出され、秋の高倉主演映画が二本になったため、本作の主演が勝新太郎に交代したものと見られる。勝の東映初出演は、東映専属にもかかわらず、勝プロ製作・東宝配給で「子連れ狼」に出演し続ける若山富三郎のバーター。製作会見は1973年9月19日に東映本社で行われ、席上、勝は「クツの裏にべったりと土がついたような陸軍と違って海軍はコンクリートのイメージだから、実はオレの味と合わんのじゃないかと心配なんだが、久しぶりに俳優一本でやれるので喜んでいる。東映初出演といっても別にどうってこともないし、俳優はカメラの前に立ったら常に全力でやるだけだ」などと話した。

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