式日 (2000)
明日は、私の誕生日なの。
当時「平成ガメラ」3部作で新進女優として注目を集めていた藤谷が、十代のときに書き上げた短編小説を、庵野監督が翻案して実写映画化。現実世界から遊離した空想の世界に生きる不思議なヒロインを藤谷自身が演じる一方、彼女と行動をともにするカントク役には人気映画監督の岩井俊二が抜擢されて、独特の演技と存在感を披露。あのスタジオジブリの第2レーベルとして設立されたスタジオカジノの第1回作品として、鈴木敏夫のプロデュースの下発表された本作は、第13回東京国際映画祭で最優秀芸術貢献賞に輝いた。 映画監督として成功をおさめたものの、創作意欲をなくしてしまった男が、“明日は、私の誕生日なの”と言い、奇妙な儀式をする女に出会う。女は今日も翌日も同じ言葉を繰り返すが、一向に誕生日は訪れない。そんな彼女に興味を覚えた男は、彼女を被写体にビデオを回すようになるが…。
キャスト
豆知識
- 受賞:1 · ノミネート:0. 主な受賞:東京国際映画祭 最優秀芸術貢献賞
『式日』 は、2000年(平成12年)に公開された日本映画。監督・脚本は庵野秀明。「式日」は「儀式を執り行う日」を意味する。
製作
スタジオジブリの第2レーベルとして設立されたスタジオカジノの第1回作品である。そのためか、ジブリコレクションのひとつとしてビデオ・DVD化されている。DVD-Videoに関しては、後に英語字幕がつけられ、アメリカ合衆国でもリリースされる。
お花見の席で庵野が藤谷に会った時、藤谷が小説を書いていることを知った庵野が「小説と彼女そのものの魅力をフィルムに持ってこられないか」と思ったことから、企画が本作の形に移行し始めた。この時点で小説は未完だったが庵野が「続きを読みたい」と説得したことで、映画の話が進んでいった。
企画が「藤谷の小説の映像化」「アート映画」の形で本格的に動いた際には「絶対に元が取れませんけど、大丈夫ですか?」と庵野が躊躇したものの、徳間康快が「世界に出せる日本文化の一つとして、挑戦してほしい」「失敗しても構わない」「今回儲からなくても、次で儲かればいい。好きにやってほしい」と制作を強く勧めたため、正式に長編映画として制作された。
美術館での上映となったことが象徴するように、芸術性の高い作品であり「エンターテインメント」や「大衆・万人受け」を全く目指しておらず、庵野は「100人中3人に届けばいい、でもその3人の心に一生残る作品にしたい」と思える映画作品作りに徹しており、作中でもそうした映像を批判する。
藤谷文子の書いた小説『逃避夢』が原作で、藤谷本人が主演した。この原作も、藤谷自身の家族問題が下地になっている。庵野は原作に対して「頭のおかしな女の子の話で、文法を無視して書きたいことを書いた面白い作品」と評しつつも、そのまま忠実に映像化するのは無理があったため、「キャラクター、主に『彼女』の構造」「逃げ出したい程の『悲しみ』、キャラクター達がそれぞれ抱える『孤独』、過去故に抱いている『妄想』、生きることへの『意味』」等原作の根底となるものを抽出して尊重しながらも、全く別の構成に改変した。藤谷は「『変えられて嫌だ』とは全然思わない。面白いものになるなら、どんどん変えてもらいたい」「雰囲気・匂い等の基本さえ変わらなければいい」と後押しし、プロットの段階から、正式稿になる段階まで、1ページ毎に庵野・南里幸・藤谷の3人で話し合いを何度も重ねていった。特に庵野に至っては、アイディアが浮かぶ度に藤谷に電話で確認をとった。劇中で合成に使用しているイラストも藤谷が描いたものを用いている。
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