愛・旅立ち (1985)
1980年代の日本を代表する2大アイドル、近藤真彦と中森明菜という超大物同士の顔合わせが実現。公開前から大きく注目を集めたが、さぞロマンティックな映画になるかと思いきや(宣伝コピーは「いのちいっぱい恋をします。」だった)、いきなり宇宙の場面で幕を開けるという壮大なスケールに当時の観客たちは驚愕。近藤演じる青年と中森演じる難病の少女の運命的な熱愛を描くが、精神世界という意外な方向に転じていくのもびっくり。日本映画好きの間で語り継がれているのも納得の怪作だ。監督は舛田利雄。
キャスト
豆知識
『愛・旅立ち』(あい・たびだち)は、1985年1月26日に公開された日本の映画である。フィルムリンクインターナショナル製作、東宝配給。監督は舛田利雄。近藤真彦、中森明菜主演作品。上映時間は127分。同時上映は『うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ』。
製作
企画はフィルムリンクインターナショナル代表・山本又一朗。中森明菜は1983年のシングル、アルバム、カセットの総売り上げが67億円で、松田聖子を抜いてトップとなり、所属レコード会社・ワーナーパイオニアの1983年度の売り上げ150億円の半分近くを稼ぎ出した。興行関係者から、映画に出れば、かつての山口百恵、同時期の松田聖子クラスの興行力を持つと評され、東宝、松竹、東映、大映の4社が「中森明菜主演映画」を巡り激しい争奪戦を展開した。しかし中森本人が映画に乗り気でないという理由で、所属事務所の研音も二の足を踏んでいた。山本は中森がプロデビュー前の『スター誕生!』(日本テレビ)出演当時から「将来の大物」として中森を高く買い、中森主演映画の企画を盛んに中森サイドにアプローチをかけ、シナリオも数回持ち込んでいた。1984年の春の段階で研音は「山本さんからは数回に渡ってシナリオを頂いています。
当初は大友克洋の漫画『童夢』の実写映画化という構想もあった。『太陽を盗んだ男』を長谷川和彦と作った山本は、同じく中森を評価していた長谷川と映画化を進め、長谷川は『PSI』というタイトルのサイキック物語の脚本を執筆していたが、途中で中森が自分ひとりで主役を張ることに自信が持てないと渋り、相手役として映画慣れしている近藤真彦に白羽の矢がたてられた。山本は研音側からの了解を貰い、マッチの所属するジャニーズ事務所のメリー喜多川に交渉に行き共演OKの了承を得た。まだたのきん映画のプロデューサーで、近藤の主演作を構想していた東宝の小倉斉と山本の意見が一致したとされる。東宝が使い道に困っていた近藤を相手役に押したとする説もある。
舛田は監修作品を含めると本作で76本目の映画。『人間革命』と『続・人間革命』を手掛けたことのある舛田は以前から、仏法的世界観に興味を持ち、死後の生命については、本作にも浮ろう者役で出演する友人の丹波哲郎から話を聞いて自身でも資料を読み漁っていた。"生と死"は人類にとって最大のテーマだから、いつかちゃんとした形で映画化したいと考えていたが、当時の映像技術では歯が立たないと先送りにしていた。別の仕事で舛田が山本に会った際、大阪大学でコンピュータグラフィックスの最先端の研究をしていた大村皓一助教授を紹介され、無類の映画好きの大村と話が盛り上がり、技術的な協力も確約され、今こそやってみたいと意欲が湧いた。舛田はここが出発点と述べている。この時点ではマッチと明菜という話はなく、笠原が脚本に取り掛かる段階で、山本からマッチと明菜に演らせてはどうかと言われた。それまでのアイドル映画は、アイドルの個性に合わせてドラマを作るのが基本パターンだったが、本作は出発点から違った。
舛田は超常現象を扱った長谷川脚本の基本テーマを活かし、当時流行していた丹波哲郎のベストセラー『死後の世界の証明』的なものを若者向けに製作しようと提案。一方、笠原による脚本製作は難航し、最後は纏めきれず舛田に預け脚本は完成、映画も完成をみた。本作品をきっかけに近藤と中森は交際を始めた。山本が「ぎこちないカップルでは映画を撮ってもシラケるから、クランクインまでムードを高められるように交際して欲しい」と2人に勧めたという説もある。山本は、ジャニーズ事務所のメリー喜多川から、映画の撮影が始まるに際し「山本さん、2人を一緒に連れて行って、食事でもして」と言われて、2人を誘って会食に出かけた日が2人の交際の始まり、と述べている。郷ひろみと松田聖子の恋愛(当時)が、どちらかといえば、密室だったことに比べ、マッチと明菜は、明菜がマッチが出場するレースに応援に行くなど、かなりオープンで、2人の親密報道が流されるにつれ、中森はどこへ行ってもマッチのファンから「死んでしまえ!」と罵声を浴びるようになった。
1984年10月9日、東京虎ノ門のホテル・オークラで製作発表記者会見があり、お互いの事務所が主導権争いで揉め、記者会見は前日の深夜に正式に決定したにもかかわらず、報道陣250人が詰めかけ、近藤と中森の婚約発表かと思わせるほどの大混乱。2人の共演映画を一部新聞誌上が事前にスクープしたため、主催者側が激怒し、その新聞社の記者を会場に入れないと発表してひと悶着があり、会見予定が40分遅れた。当時のマスメディアにとっては、マッチ、明菜の顔合わせなら、百恵・友和以来のゴールデン・コンビと捉え、報道陣もエキサイトした。司会者が「これはあくまで製作発表でして、決して婚約発表ではありませんので念のため」と冗談を飛ばすと会場は苦笑いに包まれた。会見では山本プロデューサーが「もう2年前から、明菜主演の映画を考えていました。
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