エルネスト

エルネスト (2017)

チェ・ゲバラの"意志"を継いだ男

キューバ革命が成就した1959年、キューバ使節団の団長として来日したチェ・ゲバラは、広島の原爆ドームなどを熱心に見学して回り、取材に同行した新聞記者の森を感動させる。それから数年後の1962年、ハバナ大学の医学部に入学すべく、日系2世の青年フレディ前村が、ボリビアからキューバへとやって来る。やがてボリビアで軍事クーデターが起き、フレディ前村は、革命戦士としてチェ・ゲバラとともに戦うことを決意する。

公開日
2017-10-06
TMDB
7.0 / 10 (7)
上映時間(分)
2時間5分
ジャンル
ドラマ, 履歴
監督
阪本順治

キャスト

豆知識

『エルネスト』 は、2017年の日本・キューバ合作の青春伝記映画。オダギリジョー主演、阪本順治監督作品。

製作

日本とキューバ合作映画は1969年の黒木和雄監督『キューバの恋人』以来48年ぶりとなる。学生時代からチェ・ゲバラに興味を持っていたという阪本順治監督は、他作品の製作を進めながら2013年に日系移民の企画を立てた。この企画は流れたが、調査の過程でチェ・ゲバラと一緒に闘ったフレディ・マエムラの存在を知った。原案としてクレジットされるマエムラの実姉マリーとその長男が書き下ろした本を読み、キノフィルムズに企画を持ち込み、プロデューサーの椎井友紀子もゲバラのファンだったことから製作が決まった。

阪本監督は2014年6月にキューバを初めて訪れ、準備をしつつ『ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年』『団地』の製作も並行してやった。冒頭、1959年7月のゲバラの広島訪問が比較的長いのは、このゲバラの広島訪問とフレディのキューバ留学が3年程度しか違わず、ほぼ同時代からで、フレディが留学してすぐに起きたのがキューバ危機で、核戦争になったら、どういう事態になるかということを一番実感していたのはゲバラでなかったか、という発想から。ゲバラが広島で何を見たかということはちゃんと押さえておきたかったという。当時ゲバラを取材した中国新聞の林立雄記者(永山絢斗)に取材しようとしたが、既に亡くなり、林の娘から新聞記事にしなかった当時の取材メモを提供してもらった。これを脚本に反映させたため、広島編の台詞はリアルなものだという。

主人公・フレディ・マエムラを演じるオダギリジョーは、阪本監督とは3度目のタッグ。当時の邦画の特徴として、原作ものであったり、キラキラ系と呼ばれる青春映画だったり、どこか保険をかけたような、ある程度の集客が見込める作品が大半で、今の日本の映画界でこういう作品を作るのは非常に難しい状況であるため、監督やプロデューサーの意気込み、挑戦を嬉しく感じ、その挑戦に乗りたくなりオファーを受けたと述べている。オダギリは約半年間でスペイン語を完璧にマスターし、体重を12キロ絞って役づくりを行った。チェ・ゲバラやフィデル・カストロは、役は事前に伝えず、現地でオーディションを行なったが、カストロ役は尻込みする人が多かったという。

2016年8月18日、広島市でクランクイン。8月19日に平和記念公園をゲバラが訪れるシーンなどが撮影されたが、70年近く前の広島など再現できないため、CGで処理した。ゲバラの広島訪問はアラン・レネ監督の『二十四時間の情事 (原題『ヒロシマ・モナムール』)』が公開された年で、同映画で映し出される広島の街は到底CGでは表現できず、残念に思うと阪本監督は述べている。松井一實広島市長や、当時の湯﨑英彦広島県知事から許可を取り、一般には入れない原爆ドームの真下などにもカメラを入れた。

広島ロケの後、9月2日から約1か月半キューバロケ。キューバ映画界は今のキューバを描く作品がほとんどで、この時代に触れたものは久しく撮られていなかった。キューバは映画に対して検閲がなく、政府を揶揄してもOKで自由ではあったが、実在の人物に対してはチェックが厳しかった。また阪本監督は『KT』(2002年)で韓国と、『闇の子供たち』(2008年)でタイとの合作を経験しているが、社会主義国との映画製作は勝手が違ったという。ありとあらゆることにラウル・カストロキューバ共産党国家評議会議長(国家元首)の判子が必要で、なかなか判子が来ず、撮影日を10日間失った。キューバでは軍服や武器など、映画界が保有することは許されてないため、許可を待っていられず、日本にいるスタッフに日本のミリタリーショップに行って似たような服を探し、無い物は衣装部で作った。また小道具は現地で作ったが、キューバ人は手先が器用でこの点では幸いだった。

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