十八歳、海へ

十八歳、海へ (1979)

森本英介は、五年間も東京で浪人暮しをしており、郷里で病院を経営する父とは、裏口入学のことでモメて以来、音信がない。ある夜、鎌倉で、英介は暴走族のリーダーと喧嘩になり、海に潜って、先に顔を上げた方が敗けという勝負をした。翌日、英介は予備校で有島佳という女の子に声をかけられる。彼女は昨夜の一部始終を見ており、一緒にいた桑田敦夫と、英介の真似をして、心中と間違えられたという。いきなり話しかけられてとまどう英介は、ホテルのボーイをしながら予備校に通っていることを彼女に話す。佳は、この夏、釧路から夏期講習を受けるために上京し、姉・悠のところに居候していた。桑田は同じ予備校に通う二浪の男だ。ところで、佳は心中ごっこのとき、死と隣り合わせの瞬間に、このうえもない喜悦を感じたことで英介に興味を持ったのだ。そして、佳と桑田は英介のバイトするホテルで心中未遂を起こしてしまう。二人の収容されている病院に見舞いに行った英介は、そこで、佳の姉の悠と出会う。悠は小学校の給食をつくる仕事をしている。暫くして、悠は、ホテルの一件以来、自分のところから離れていた佳に、ロタ島行きのキップを渡してくれと英介に話す。それは、桑田から佳を離そうとする悠の心づかいだった。しかし、佳はキップを受け取ろうとせず、英介は悠と一緒にロタ島に行った。二人は旅を満喫する。旅から帰り、ホテルでバイトをしていた英介は、学会で上京していた父と出会った。父は学会の開かれる箱根のホテルで話し合おうと話すが、英介は憎しみしか覚えなかった。その頃、経済的に行きづまった佳と桑田が、英介に助けを求めてきた。英介は、二人を父の名で、箱根のホテルに泊まらせることにした。翌日、英介は箱根の警察から連絡を受けた。箱根のホテルにいた佳と桑田の死の知らせであった。心中ごっこが本当の心中になるとは……。鋭い衝撃が英介を襲った。夏の終り、鎌倉の海に英介と悠の姿があった。二人は佳と桑田の行為を語りながら、自分たちが、別々の道を歩みはじめたことを感じていた。そして今、英介は自分のとまどいの季節が終ったことを意識しながら……。

公開日
1979-08-18
TMDB
6.7 / 10 (3)
上映時間(分)
1時間50分
ジャンル
ドラマ
監督
藤田敏八

キャスト

豆知識

『十八歳、海へ』(じゅうはっさいうみへ)は、1979年8月18日に公開された日本映画。主演は永島敏行と森下愛子で、藤田敏八が監督を務めた。中上健次の小説集「十八歳、海へ」より「隆男と美津子」の章の映画化作品。併映作は『スーパーGUNレディ ワニ分署』。前年の社名変更後も旧社名と旧マークを維持し続けた株式会社にっかつの名前と新マークがスクリーンに登場した最初の作品でもある。

製作

19歳から23歳までに書かれた中上健次の短編七編を収めた『十八歳、海へ』から、脚本家・田村孟が『隆男と美津子』を選び、5頁程度の原作からイメージを膨らませ脚本を書いた。田村と監督藤田敏八は、年齢は1年違うが東京大学の同窓生。コンビを組むのは初めて。やや年をくった浪人青年と「心中ごっこ」を繰り返す恋人たち、この3人の予備校生の奇妙な共同生活を通して、藤田作品で度々描かれる青春のやるせない痛みを描いた。製作発表時には、森下愛子、永島敏行の他、根津甚八、いしだあゆみの出演も予定していた。

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