マタンゴ (1963)
吸血の魔手で人間を襲う"第三の生物"マタンゴの恐怖!
7人の若者を乗せたヨットが、嵐のため無人島に漂着した。その島を探索した結果、彼らより先に、一艘の難破船が漂着していたことが判明する。だが乗員の姿はどこにもなく、ただあたりは奇妙な形状のキノコが群生しているのみだった。やがて食料の残りが少なくなり、彼らは恐る恐るそのキノコを食し始める。そしてそのキノコを口にした者は、人間の姿を失い、奇怪なキノコ・マタンゴへと変身していくのだった……。原作はホジスンの「闇の声」。
キャスト
- 久保明 — Kenji Murai - Professor
- 水野久美 — Mami Sekiguchi - Singer
- 小泉博 — Naoyuki Sakuta - Skipper
- 佐原健二 — Senzô Koyama - Sailor
- 太刀川寛 — Etsurô Yoshida - Writer
- 土屋嘉男 — Masafumi Kasai - Owner
- Miki Yashiro — Akiko Sôma - Student
- 天本英世 — Transitional Matango
- 熊谷卓三 — Doctor (as Jiro Kumagai)
- 草間璋夫 — Police Personnel
- 岡豊 — Doctor
- 山田圭介 — Doctor
豆知識
『マタンゴ』 は、1963年(昭和38年)8月11日に公開された日本の映画。製作・配給は東宝。監督は本多猪四郎、主演は久保明。
製作
当初は早川書房の雑誌『S-Fマガジン』にて「空想科学小説コンテスト」を共催し、それに入選した作品の映画化を予定していたが該当作が無かったため、同誌の編集長であった福島正実の提案によって原作を決定し、福島自身が脚色を手がけた。原案には、SF作家の星新一も名を連ねているが、実質的にはラストについての意見を出したこと以外はほぼノータッチである。
監督の本多猪四郎は、本作品はワライタケとバミューダトライアングルがヒントになったと述べており、地球上には不思議な場所がまだあるということを表現したかったが、実際の作品は小ぶりになってしまったと語っている。
マタンゴのミニチュアには、開発されたばかりでまだ使用目的の無かった発泡ウレタンが使われた。マタンゴがみるみるうちに発育していくシーンは、実際に発泡ウレタンが反応して膨れ上がる様子をそのまま使っている。監督の本多猪四郎はこの手法を高く評価しており、試作時に思わず拍手したほか、後年のインタビューでもこの件を特撮スタッフのアイディアと努力の一例として挙げている。
笠井役の土屋嘉男は、撮影までマタンゴの姿を知らずセットで初めて見たが、怪物の着ぐるみはヨチヨチ歩きでセットも『白雪姫』のような雰囲気であったため、笑ってしまったという。麻美役の水野久美も最初は笑っていたが、だんだん不気味になっていき、特に天本英世のメイクが怖かったと述懐している。土屋も撮影当時はリアルな怪物を想像していたが、映画全体として見れば気が狂った人々が見た非現実的な描写としては良かったとも述べている。着ぐるみによる演技も、本多が指導を行った。
キャストが食べるマタンゴは、米粉をキノコ形に練った和菓子素材の蒸し菓子を、食紅などでピンク色に着色したもの(「新粉細工」と呼ばれるもの)である。菓子は成城凮月堂が映画用に作っており、毎朝撮影所に蒸したてが届けられた。しかし、そのままでは味気なかったため、土屋の提案で砂糖を加えて食べやすくしたところ大変好評で、水野は特に気に入って食べていたほか、スタッフたちも撮影の合間につまみ食いをしていたという。土屋は上品な甘さであったと証言しており、村井役の久保明も本当においしかったと述懐している。
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