大奥(秘)物語

大奥(秘)物語 (1967)

Three tales of women that resided in the Shogun's harem (o-oku) during the Edo period.

公開日
1967-07-30
TMDB
4.7 / 10 (3)
上映時間(分)
1時間36分
ジャンル
ドラマ
監督
中島貞夫

キャスト

豆知識

『大奥㊙物語』(おおおくまるひものがたり)は、1967年の日本映画。東映製作。主演・佐久間良子、藤純子、岸田今日子。監督・中島貞夫。R-18(成人映画)指定作品。

製作

当時の東映常務兼京都撮影所所長・岡田茂プロデューサー(のち、同社社長)が任侠路線と平行して、「男の世界を覗き見る」のが任侠映画なら「女の世界を覗き見る」のは何かという発想から、大胆な"エロティシズム=性愛路線"を打ち出し「京都撮影所(以下、京撮)の時代劇の衣装を使ってピンク映画を撮る」「男子禁制の大奥の世界を覗き見る」というコンセプトから企画されたのが本作となる。岡田はこれ以前にも東映東京撮影所所長時代の1963年に佐久間良子主演で『五番町夕霧楼』1964年に小川真由美・緑魔子主演で『二匹の牝犬』(渡辺祐介監督)を、京撮に戻った同年に中島貞夫に『くノ一忍法』、1966年には"文芸エロ路線"と称し『四畳半物語 娼婦しの』(成澤昌茂監督)といったエロティシズム要素を含んだ映画を撮らせており、既にその萌芽が見られていた。この時期の東映は任侠映画以外は全く当たらなかったが、本作が大ヒットしたことで岡田はメジャー会社初の「エロ映画」量産に舵を切った。

現在もよく使われる㊙も岡田の発想で、本作のタイトルで初めて使用された。元タイトルは『大奥物語』であったが、岡田はこのタイトルでは記録映画や歴史文芸作品のように思われてしまい、地味でヒットしないと考えた。「男子禁制の大奥の世界を覗き見る」という隠微さが必要だと考え、「大奥」と「物語」の間に㊙という文字を入れることを思いつく。この㊙のおかげでエロティックな雰囲気を漂わすことができた。監督の中島はこの発想に衝撃を受けたという。しかし佐久間良子はそれが東映を退社する切っ掛けになったと明かしている。マスコミは㊙から来る卑猥な映画と風評を流したため、続編の際の配役に苦労したという。岡田は本作の成功を切っ掛けに「好色路線」を本格化させ、別種の任侠映画と二本立てにすることで両者の魅力が際立ち興行的にも成功した。

出演は、ヒロインの第1部に藤純子、第2部に岸田今日子、第3部に佐久間良子。将軍役に、高橋昌也。大奥を取り仕切る御年寄に、東宝・山田五十鈴。その他岩崎加根子、坂本スミ子を始めとする東映の女優が大集結した。物語の中で重要な役割を担うナレーターは、渡辺美佐子が務める。有名な岸田今日子のナレーターは1968年の『大奥』からである。脚本は第1部が金子武郎、掛札昌裕、第2部が国弘威雄、第3部が佐治乾。監督・中島貞夫は前作『あゝ同期の桜』のラストシーンの編集問題で大川博社長(当時)の逆鱗に触れ、クビになる寸前、岡田から「もう一本撮らしたるわ」と監督に抜擢された。映画の大ヒットでクビの話は立ち消えになったという。その他のキャスティングも全て岡田によるもの。本作は藤純子、小川知子、佐久間良子の3人を並べて主演にしたオムニバス映画だが、当時の藤と小川は新人扱い。小川は本作で同性愛の女中を演じ、先輩女優・岸田今日子とヌメヌメのレズ、折檻シーンなど体当たり演技で、エランドール賞新人賞を受賞した。

岡田は最初、監督・今井正と脚本は大御所の八木保太郎で企画していた。岡田は東映の屋台骨の任侠路線と並行して、新しい芽となるエロチシズム路線を打ち出す狙いを持ち、「<未知の世界><女の世界>を覗き見」という発想から、将軍以外の立ち入りを許されない男子禁制の女の園、将軍のおたねを宿すことが最上であるとする女たちの権謀術数の世界、皆が知らない大奥の秘密の部分を見せ場に考えていた。ところが、今井と八木はテレビでよくある歴史物語に仕上げようとし、岡田の構想とはまるで違った作品をイメージしていた。八木に全面的に直して下さいとお願いしたが言うことを聞かないので頭にきてこの二人を降ろし、一度企画を中止させ、半年後に本作のメンバーで再開させた。脚本はチームを作り出来を競わせ、中島貞夫を監督に起用、岡田の懐刀・翁長孝雄に製作させ、後の「東映エログロ路線」を決定づけた。キャスティングのほか、オムニバス形式の構想も岡田が出し、脚本にもかなり指示を出した。「宮中秘話」も着想したが取りやめた。

岡田の発想は「時代劇の衣装を使ってポルノを撮る」であったが、時代劇制作の本尊・東映と言えど、それまでまともな女性時代劇は作られたことはなく、女性物の衣装や道具類は当時京撮にも多くはなかった。このため質量ともに改めて調達、作品は一種のコスチュームプレイ的な意味合いを持ち、費用は衣装費だけで3000万円かかったという。大奥を藤純子以下、女優たちがぞろぞろ歩くシーンがあるが、全員打掛はほぼ初めてで、持ち方から、歩き方から全くできない。時代劇のベテラン・山田五十鈴がムンムンするセットの中で半日かけて出演女優の歩き方の特訓をした。

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