逆噴射家族

逆噴射家族 (1984)

核戦争もブッ飛ばす! これがワシらのデス・マッチ

新興住宅地にトラックがやって来た。今日は小林家の引越しの日である。小心で生真面目、家族をこよなく愛する優しい父・小林勝国は、20年間のローンでようやく小さな庭付き一戸建て住宅を手に入れたのだ。母・冴子は、天真爛漫で底抜けに明るい女性だが、観葉植物を我が子のように可愛がるヘンな癖がある。東大をめざして浪人中の息子・正樹は、受験勉強がたたってかいつも異様に眼をギラつかせ、明けても暮れても暗記に没頭している。娘のエリカは、アイドルタレントを夢見て、常に演技のマネゴトに熱中している女の子。郊外で健康的かつ明るい家庭を築きあげるのが勝国の夢であり、新居の前に家族と共に立った時、彼の胸は充足感でいっぱいだった。翌日から、イソイソと健康器具等を買い込み、勝国は理想的な家族設計を実行に移して行く。ある日、勝国の兄の家を追い出された祖父・寿国が舞い込んで来た。頑健で愉快な寿国を最初は暖かくむかえる家族だったが、あまりの無遠慮かつ奔放な振る舞いに、次第に反感を覚えるようになる。また、一人増えたことで狭い団地住いの悪夢が甦ってきた。危惧した勝国は悩み抜いた末、この家に祖父の為の地下室を作る事を思いつき、スコップで、シャベルで、はたまた砕岩機まで買い込んで穴掘りに精を出し始めた。穴掘りも中盤にさしかかった頃、白蟻が現れた。せっかく手に入れた新居を白蟻に食いつぶされてたまるものかと、とり憑かれたように殺虫剤を撒き、灯油をぶっかける勝国。悪戦苦闘の末、ようやく白蟻を退治したが翌日、会社にいても白蟻の幻影が頭から離れない彼は会社を飛び出して家に取って返した。勝国は、今や完全に狂気のまなざしで砕岩機を振り回し、水道管を突き破った。家族の怒りが爆発し、くんずほぐれつの戦いが始まる。一軒家の中で激しい戦いが繰広げられたため、家屋が傷つき崩壊してしまった。一家はガード下で吹きさらしの生活を始めた。

公開日
1984-06-24
TMDB
7.1 / 10 (36)
上映時間(分)
1時間47分
ジャンル
ドラマ, コメディ, スリラー
監督
石井岳龍

キャスト

豆知識

『逆噴射家族』(ぎゃくふんしゃかぞく)は、1984年6月23日に公開された日本映画。監督は石井聰亙。家庭を舞台にした戦争映画と注目を受けた。原案・脚本は漫画家の小林よしのり。

製作経緯

1982年の『爆裂都市 BURST CITY』を石井が撮り終えた直後に、小林よしのりと「ディレクターズ・カンパニーを一緒にやらないか」と石井を誘った長谷川和彦、ATG代表・佐々木史朗との4人の話し合いで企画が始まった。ディレクターズ・カンパニー製作では1984年4月に公開された池田敏春監督『人魚伝説』に続く本格的劇映画第二弾となる。

製作発表記者会見が1984年1月20日、銀座日航ホテル(現ホテル ザ セレスティン銀座)で行われた。内容は新興住宅地で静かな生活をしている一家に大変な祖父が乗り込んで来て起きるコメディ、と説明があった。また出演者は、植木等、倍賞美津子、有薗芳記と『週刊映画ニュース』は、工藤夕貴を新人でよく分からなかったのか、工藤有貴と誤植している。主演・小林克也は「ディスク・ジョッキー、コマーシャルで人気のある小林克也」と説明があった。会見の翌1984年1月20日からクランクインし、このときは4月末からのゴールデンウィーク公開を目指すと発表されていた。

逆噴射家族というタイトルは、この映画の公開された2年前に起きた「日本航空羽田沖墜落事故」に由来する。この事故の原因が、統合失調症の機長による逆噴射機構の作動によるものであり、その単語がその後世間に広まり、一時期流行したことに起因する。

『爆裂都市 BURST CITY』の後、次は登場人物を少なくし、場所が限定されている映画をと石井聰互と小林よしのりで原型を作り脚本作りを始め、長谷川和彦が脚本を直していたが、長谷川が人身事故で交通刑務所に服役することになったため「自分の代わりにプロのライターを」と神波史男に頼み、この段階で高橋伴明がプロデューサーに決まった。ディレクターズ・カンパニーは監督の集まりだが、相互にプロデューサーを担当するという取り決めがあった。神波が脚本を完成させ、長谷川が出所して小林と本を直し、最後に石井が手を入れ決定稿ができた。登場人物は5人だけ、ドラマの舞台はほぼ一軒家だけという設定である。

主演の小林克也は、劇場公開映画の出演は初めて。他からのオファーもあったが、スケジュールが合わず断っていた。しかし撮影の始まる一年前に石井聰互と小林よしのりから「小林克也さんを想定して書いた本だから」と口説かれ引き受けた。石井から「一見マジメに見えるから、そんな男が逆噴射した時の落差を狙ったんです」と伝えられた。

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