新仁義なき戦い 組長の首 (1975)
組長の首ひとつが死命を決すー!
舞台は1968年(昭和43年)6月、門司港にて旅人の黒田修次は大和田組幹部で友人の楠鉄弥のために敵対する共栄会会長の正木巌を銃殺し、服役する。7年半の刑期を努めた黒田は楠を尋ねるが、そこには薬物中毒で大和田組を破門された、廃人同然の楠の姿があった。
- 公開日
- 1975-11-01
- TMDB
- 7.4 / 10 (20)
- 上映時間(分)
- 1時間34分
- ジャンル
- アクション, 犯罪, ドラマ
- 監督
- 深作欣二
- シリーズ
- New Battles Without Honor and Humanity Collection
キャスト
- 菅原文太 — Shuji Kuroda
- 渡瀬恒彦 — Kunimitsu Sugawa
- ひし美ゆり子 — Aya
- 山崎努 — Tetsuya Kusunoki
- 福本清三 — Matsumoto
- 岩尾正隆 — Prison Rapist
- 梶芽衣子 — Misako
- 片桐竜次
- 川谷拓三 — Detective
- 小林稔侍 — Katsuo Shimura
- 三上寛 — Akira Kobayashi/Shigeru Sasaki
- 室田日出男 — Takeo Akamatsu
豆知識
『新仁義なき戦い 組長の首』 は、1975年の日本映画。主演 : 菅原文太、監督 : 深作欣二、製作 : 東映京都撮影所、配給 : 東映。『新仁義なき戦いシリーズ』の第二弾。菅原文太と山﨑努が最初で最後の共演を果たした作品でもある。
製作
企画は岡田茂東映社長。「新仁義なき戦いシリーズ」の第一弾『新仁義なき戦い』の正式な製作発表があったのは1974年11月で、「新仁義なき戦いシリーズ』という告知は無かったが、「『新・仁義―』は一話読み切り的な作り方となり、第一作目は神波史男と荒井美三雄の共同脚本、出演者もその都度異色の女優を起用し話題性を盛り上げる」と内容説明があったため、最初から第二作目の予定があるシリーズ作で、女優にウェイトを置いた内容になることが予想された。実録物なのか、アクション物なのかはこの時は説明がなかった。『新仁義なき戦い』公開直後の1975年1月にも東映へ戦列参加を表明していた渡哲也を菅原の共演者として1975年ゴールデンウィークにシリーズ第二弾予定と報道された。
以降は製作の報道もなくなったが、製作費を注ぎ込んだ夏の超大作『新幹線大爆破』がコケると岡田は何度目かの陣頭指揮宣言をし、自身で従来の企画を洗い直し再検討を行った。本来、これを行うのは動画整理の功労から製作担当のトップ・製作企画本部長に昇進させた登石雋一だったが、同ポストになって日が浅く、登石に任せると時間がかかるため、社長自ら陣頭指揮指揮を執り、迅速に自身の思う方向に転換した。岡田は1971年の社長就任以降、長く重役を置かないワンマン体制を敷き、他社が路線変更など重要案件に大変な騒動と会議を伴う中、東映は岡田の一存で全部決まった。
この決定により東映ラインアップがポルノやアクションをメインとする1970年初頭の頃に戻り、スター・ローテーションが鶴田浩二・高倉健から、菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹、千葉真一らに様変わりし、彼らを主演とする企画映画が増えた。特に岡田は「千葉を世界に通用するスターに育てたい」と話し、海外で人気の上がった千葉の主演企画がたくさん挙がった。岡田の頭に「『新幹線大爆破』で失った本来の東映ファンをまた東映の劇場に呼び戻すためには東映調にもう一度戻すことが先決である」という思いがあり、『新幹線大爆破』がコケたおかげで「新仁義なき戦いシリーズ」は継続が決まった。2月の「『新仁義なき戦いシリーズ』の役割は終わった」発言とは一転、「どうやら文太の『トラック野郎』が来そうだし、次は大事にいけと、大きく狙っているのが『組長の首』だね。この間、京都へ行ってライターと詳しく打ち合わせして来たから、的の外れたものには絶対ならんよ。やくざの喧嘩なんぞ簡単なんだよ。組長の首とりゃ終いだ。
最初に佐治乾と田中陽造で脚本を書いたがまとめ切れず、高田宏治がアンカーとして呼ばれた。佐治・田中脚本では舞台は山口県下関だったが、高田加入後は舞台が関門トンネルを潜った福岡県北九州市門司になり、全く違う話になった。みんな九州弁を喋るのに菅原だけ広島弁なのは、一人だけ広島の臭いを残した方がいいだろうと広島弁にしたと書かれた文献もあるが、菅原も九州弁を喋る。冒頭、関門海峡の空撮と海峡を行きかう船舶をバックに「関門海峡は古くから大陸に向けて開かれた日本の玄関口であるが、同時にそれは様々な犯罪をも飲み込む貪欲な喉首でもあった。麻薬・覚醒剤などを主とする密輸品は密かにこの周辺の密輸基地に陸揚げされ、やがて日本全国に捌かれていく。その莫大な利権を巡って対立してきたのが、大和田組と共栄会の二大組織であった」と酒井哲によるナレーションが入る。二大組織の抗争劇は早目に決着がつき、大半は大和田組の跡目争い。
佐治乾は、初期・深作欣二の作風の確立に貢献した脚本家。田中陽造は当時、日活ロマンポルノで活躍中の脚本家で、先述のように本シリーズは女優にウェイトを置くというコンセプトがあり、深作が「ドラマにもっと女を持ち込みたい」という希望もあって田中が参加したといわれる。田中は本作ではあまり働かなかったという証言もあるが、この年から東映に重用されるようになり、以降1980年代にかけて多くの秀作シナリオを残した。高田宏治も参加していることから、1980年代に一時代を築いた「東映女性映画」の源流は『北陸代理戦争』という見方もあるが、こちらの方が早いのかもしれない。
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