天草四郎時貞

天草四郎時貞 (1962)

In Tokugawa-era (1637) Shimabara, oppressed peasant Christians revolt against the shogunate with the aid of charismatic Christian rebel leader Shiro Amakusa.

公開日
1962-03-21
TMDB
6.7 / 10 (8)
上映時間(分)
1時間40分
ジャンル
ドラマ, 履歴, 戦争
監督
大島渚

キャスト

豆知識

『天草四郎時貞』(あまくさしろうときさだ)は、1962年3月21日公開の日本映画(白黒映画)。東映京都撮影所製作・東映配給。大川橋蔵主演・大島渚監督。

製作

当時やや低迷気味だった中村錦之助 (萬屋錦之介)と並ぶ東映の大看板・大川橋蔵が、「新しい演出で、現在の不振から脱出したい」と強く希望したことから、橋蔵の人気挽回を構想した東映が大島渚の招聘を決めた。下降線を辿る映画会社がどういう作品がヒットするかを掴めず、その時、企画者の頭に思い浮かぶのは、既成の作家とは全く異質な方法を持った作家の招聘である。作品の候補としては最初に加藤道夫の戯曲『なよたけ』が候補に挙がったが、前年の7月から準備中だった橋蔵主演・内田吐夢監督『恋や恋なすな恋』に似過ぎという理由で見送られ、橋蔵のイメージに合った歴史上のヒーローを探し、何人か候補が挙がった中から、辻野公晴プロデューサーが出した「天草四郎」を採用することになった。大島はこれまで6本映画を撮っていたが、『日本の夜と霧』はコケたが、『青春残酷物語』と『太陽の墓場』は当たっため、「大島の映画はよく解らないが、当たるんじゃないか」といった漠然とした期待を持っていたとされる。

ある会社の撮影所が外部の監督を迎える場合、内部からの抵抗が起こるのは常であるが、1962年1月にあった東映京都の助監督部会の新年会は荒れに荒れた。大島が京都で時代劇を撮ることを助監督部会40人のうち、30人が拒否。「島原の乱を撮るなら敢えて大島を担ぎ出すまでもない。自分がかねてから暖めていた企画だ」と主張する者もおり、賛成が10人。10人の賛成者は助監督部会のシナリオ集に自分たちの作品を発表している若手で、つまりシナリオ集に自分たちの作品を載せてもらえていない30人が反対する形のいわば世代対立。反対者30人の本作シナリオについての意見は「完成度に於いてほとんど0」「支離滅裂」「手法も何もない」などと辛らつなものだった。また大島を迎えることの可否は監督会でも論じられたが、ほとんど全部が反対で賛成を明らかにしたのが加藤泰と松田定次の2人だけ。

映画評論家の中には「乗るかそるかの気迫横溢作。成功したら時代劇に新風をもたらすこと必定です。是非成功して欲しい」と言う者もいた。

大島渚は監督デビューまだ4年目のため、『月刊明星』1962年5月号での大島渚の紹介は、「松竹時代には松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手として騒がれ、松竹を離れても大宝映画『飼育』で元気なとこを見せた大島渚監督が初めて時代劇を監督します。まだ20代という大島監督、元気過ぎて新聞沙汰を起こしたり、話題の多い人ですが才能は保証済み。人柄にも一種独特の魅力があるようです」と書かれている。助監督4人には先の新年会で、大島招聘を賛成した者の中から、撮影生活22年の当時40歳だった長谷川安人がチーフ助監督に、入社1年目の深尾道典が強く参加を希望し、フォースに加えられた。深尾は大島のシナリオを全て読んでおり、また早稲田大学で学生運動を活発にやっていたと聞き、大島と親しい間柄になった。大川ら東映の時代劇スターも若くて精力的な大島を歓迎した。

当時の日本の映画人で大島脚本を理解できる者はほぼいないという論調もあったが、東映側も脚本の段階でどうしても受け入れかねるところがあった。大島作品に出るということは橋蔵にとって初めての冒険といえるもので、東映にとっても大きな賭けであった。東映としては橋蔵主演でヒロイックなチャンバラを期待していたとされたが、大島脚本は負けると知った戦いに、自身の内部の要請から敢えて出て行く革命家の物語だった。橋蔵も「この脚本では、とてもやれる自信がない。主演を辞退したい」と言ったため、大島は脚本の手直しを約束し、東映と橋蔵の意見を組み入れた。大島と共同脚本の石堂淑朗は「試写を見ると僕の書いてないシーンがいくつかあってね、(冒頭の)暗がりの中で理屈ばっかり言ってるわけですよ。僕はちゃんと娯楽映画として書いてたんです。試写を見た途端カチンと来て、大島に『僕の台本じゃ不満なのか』と言ったら大島の顔色が変わりました。それで最終的に大島と別れることになったんです」などと話している。

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