鬼龍院花子の生涯

鬼龍院花子の生涯 (1982)

お父さん、やめて! もうこれっきりにして...。

土佐の侠客である鬼龍院政五郎は、大正10年に松恵という養女を取った。松恵は政五郎の身の回りの世話をしながら成長する。政五郎は末長という男と対立していたが、末長の妻が経営する料亭からさらった娘つるを妾にした。つるは翌年、政五郎の娘を出産。娘は花子と名付けられた。花子が女学生になったころ、政五郎は高校教師の田辺と知り合い意気投合、十六歳になった花子の婿にしようとする。しかし田辺は松恵と愛し合うようになっていた。

公開日
1982-06-05
TMDB
6.2 / 10 (26)
上映時間(分)
2時間26分
ジャンル
アクション, 犯罪, ドラマ
監督
五社英雄

キャスト

豆知識

  • 受賞:0 · ノミネート:1

『鬼龍院花子の生涯』(きりゅういんはなこのしょうがい)は、宮尾登美子の著した長編小説である。『別冊文藝春秋』145号から149号に連載された。大正、昭和の高知を舞台に、侠客鬼龍院政五郎(通称・鬼政)とその娘花子の波乱万丈の生涯を、12歳で鬼政のもとへ養女に出され、約50年にわたりその興亡を見守った松恵の目線から描いた作品。

製作

プロデューサーの日下部五朗は、社長の岡田茂から女性客の動員を見込める映画を作り、それまでの東映京都撮影所が続けてきた男性客一辺倒の転換を求められていた。梶芽衣子は「ぜひこれを私の主役で…」と宮尾の小説『鬼龍院花子の生涯』を日下部に持ち込んでいた。

日下部は、地回りのヤクザ・鬼政とその娘・花子、鬼政の養女・松恵との五十年におよぶ相克を描いた内容、父娘の物語や女の一生を描くことで女性客にも訴求できる上に、任侠の世界を舞台にした京撮が得意とする情念的な泥臭さもあり、映画になると直感し、原作小説を買い取り映画化の準備をはじめた。本社の会議では、若山富三郎と大竹しのぶの主演で役員20人の前で説明したが却下され、岡田に企画を何度提出しても「暗い。当たらん」と却下された。日下部は攻め方を変え、自分以上の好色家である岡田に対し「これは土佐の大親分が妻妾同居で1階に正妻を、向かいに妾を住ませて、双方の家を行き来してヤリまくる話です」と話したところ、一発逆転でOKが出たと話している。

映画公開から11年経った1993年の映画誌のインタビューで日下部は「『鬼龍院花子の生涯』や『楢山節考』なんて映画は、ぼくが東映の社員プロデューサーだからできたんで、これが独立プロデューサーで、自分がカネ集めて勝負する、大冒険はやれなかったと思いますね。やらせて貰ったんだという気持ちはあります。それは独立して、己の才能を賭けてね、損も得も一身で荷うというのが本来のプロデューサーだとは思いますが、今の映画界の状況では難しくて。まあ最初ドカーンと当てりゃ、あと二本ぐらい作れるでしょうけど、最初の二本外したらもうエンドでしょうね。才能を持っていたとしてももう無理でしょう。東映の社員プロデューサーですから、当たっても当たらなくても、責任は取らなくていい立場にある。思うようにやれるということはあります。東宝はいろんな外部プロから作品を買っていますけど、買う才能がありますね。

高岩淡は「佐藤正之さんが岡田さんのところにやってきて、五社を『何かに使ってやってくれ』と頼み、ちょうど日下部が『鬼龍院花子の生涯』の企画を持ってきたから岡田さんが『これを五社にやらせろ』と言って製作を決めた」「宮尾登美子もまだベストセラー作家じゃなかった。特異な世界のどろどろした人間関係をテーマにした小説ですから、読書層の広がらなかった。だから、日下部が企画あげて来たとき、あんな暗い話、当たらんと営業なんか乗らなかったんです。だけど、ある人からヒントを得て感ずるところあった五朗はイケると粘りまくった。みんな反対でモタ付く中で、岡田社長が『五社にやらせてみろ』と暫くたって指示されたんですね。当時の五社さんは公私ともにドン底でね、監督生命さえ危ぶまれていたんですよ。それに『やらせてみろ』ですからねえ。結果は岡田社長の思惑通り、五社さんの最高傑作が生まれたんですが、外から見れば意外や意外でしたね」などと話している。

本作で美術を担当した西岡善信は著書で「当時僕は月に5、6回東京に行って、六本木の喫茶店で俳優座と打ち合わせをしてました。それで佐藤正之さんに『鬼龍院花子の生涯』というタイトルを聞いた。佐藤さんは『これを五社にやらせようと思うけどどうやろ?』と聞かれたけど、本人は映画は辞めようとしてたし、どうかなと思ったんです。でも、東映で相談してみようかとなった。東映の岡田さんがオーケーを出して、結果的にヒットしました」などと述べている。

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