真夜中の招待状 (1981)
心の扉をあけて いま 危険(ミステリアス)な冒険を!
稲川圭子(小林麻美)は、婚約者の田村樹生(小林薫)のことで神経科医の会沢(高橋悦史)を訪ねた。樹生の三人の兄が次々と蒸発するという謎の事件が続き、そして今度は自分が蒸発してしまうのではないかという強迫観念にとらわれて樹生がノイローゼに陥ってしまったのだ。まるで神隠しにあうかのように忽然と人が消える。その事件を解く鍵として、会沢は樹生に夢の記述を勧める。夢という形で近い将来に起こることを予見する本能が人間にはあるのだという。樹生と圭子はやがて三人の蒸発には奇妙な関連があることに気付くのだが…。
キャスト
- 小林麻美 — Keiko Inagawa
- 小林薫 — Tatsuo Tamura
- 高橋悦史 — Yoshio Aizawa
- 米倉斉加年 — Toyokichi Kuze
- 宮下順子 — Mitsu Harada
- Mitsuko Yorichika — Satsuki Akashi
- 下條アトム — Kuninao Fujimura
- 中島ゆたか — Hiroko Harada
- 日色ともゑ — Aizawa's wife
- 梅野泰靖
- 鹿沼絵里 — Rie Harada
- 星野晶子
豆知識
「真夜中の招待状」は、1981年9月26日に松竹系にて公開された日本映画。遠藤周作1971年の小説「闇のよぶ声」の映画化。主演・小林麻美、監督は野村芳太郎、脚本は野上龍雄。
製作
大の推理小説好きの野村芳太郎監督は、1970年代後半から1980年代始めにかけて推理小説を矢継ぎ早に映画化した。1979年にエラリー・クイーン原作の『災厄の町』を『配達されない三通の手紙』と改題して映画化したが、それより先に松本清張の『白い闇』と『鉢植を買う女』、『熱い絹』と本作『闇のよぶ声』が企画として挙がり、『闇のよぶ声』も脚本の野上龍雄が第二稿まで書いていたが、この時は頓挫していた。1981年に何をやるかとなったとき、最有力は松本清張の『渡された場面』で、脚本は田坂啓で準備していたが、脚本の見込みが立たず、急に切り替え、本作をやることになった。結果的に前年の『震える舌』に続き、ある種の難病を重要なテーマに置いた作品となった。この際、主役の二人は新人と決まり、小林麻美と小林薫がキャスティングされた。
小林麻美は前年の『野獣死すべし』では、美しく撮られてはいたものの、出番も少なくマネキンとして扱われたが、映画2本目の本作は出ずっぱりの主演。所属の田辺エージェンシーからメーク係、スタイリスト等6人が小林の専属スタッフとして就き、映画に本格的に乗り込むにあたり万全の態勢を敷いた。このため目まぐるしく衣装を替える。
松竹が当時のベストセラー・田中康夫の『なんとなく、クリスタル』を映画化『なんとなく、クリスタル』の宣伝の際に取ったアンケートで、小林が「クリスタル・タレント」のトップに選ばれたことが、本作の抜擢に繋がったと見られ、野村芳太郎監督の息子で、プロデューサーとして名を連ねる野村芳樹は「あれは偶然の一致ですが、役者としてイメージが固まってないので、しかも魅力ある雰囲気をすでに身につけているという点を買いました。20歳前後の若い観客を小林麻美に一体化させるのが狙いです」などと話した。このため、クリスタル族的興味ないしJJ族的欲求を満たすべく小林の衣装にそれを反映させている。小林麻美の主演作として大きな話題を呼んだ。
野村監督は「映画には、俳優の演技を生かした演出法と、その人のキャラクターに頼ってというか、個性的な人の個性に合わせて作る方法とがあるわけですが、この映画の場合は麻美さんの個性に合わせています。演技のうまいヘタよりも、その人の一生懸命さというものの方が、映画によく出る。熱気が伝わるんです。この映画は、お客さん(観客)が主人公の彼女にどこまで感情移入していくかが勝負ですから、他のベテラン俳優たちとの絡みでもカット割りによって彼女にウエイトをかけるように撮っています。この映画の実験的な試みとして強迫観念の映像化をやっています。この映画の中心になるのは、男と女の気持ちの問題なのです。女性がどれだけ自分の恋人の気持ちが分かっているか、分かっていたと思っていたものが、実は分かっていなかったり…日本映画があまり扱わなかった心理的ミステリーの試みなのです」などと述べた。
撮影は1981年夏。小林の住む稲川邸は東京都港区霞町(現麻布)の個人宅(H邸)。撮影日は1981年8月14日。当日は都内各所でロケが行われた。
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